#Silhouette Extra Tale 改訂版 序章「覚醒の時」 !v27=2 !v28=2 !v35=2 !v36=2 !se(System)キー2 \>この作品は、原作『シルエットノート』の 表・サユキ生存ルートから派生する オリジナルストーリーです。 !se(System)キー2 \>作中における基本設定は、原作及び 『シルフェイド幻想譚』を元に構築しています。 !se(System)キー2 \>また原作にはないオリジナル設定も 存在しますので、あらかじめご了承ください。 !se(System)キー2 \>それでは、スタートします。 \> \\c[4]「\r[私,・]\r[の,・]\r[力,・]……\r[返,・]\r[し,・]\r[て,・]\r[も,・]\r[ら,・]\r[う,・]\r[よ,・]……」 !wait100 !mv倉庫街 !bgmサスペンス !wait40 @133 冬村さん! \sしっかりするんだ! 冬村さんっ!! @802 ……。 !wait40 これ以上の応急処置は…… \sもう無理だ……。 !se(Action)跳ね @133 だ、だったら、僕が病院までっ! @802 よせっ、無理に動かすな! また傷口が開いて出血してしまうぞ! @133 でも、このままじゃ……! @802 ……\sこれだけの騒ぎだ。 もう少し待っていれば、 必ず警察や消防がやって来る。 それまで、我慢するんだ……。 @131 うっ……。 @1 フォックスさんの言ってることは正しい……。 今の冬村さんの状態を考えれば、 下手に動かすことは絶対にできない。 病院へ連れて行くにしても、 車とかを使って体にかかる負担を できる限り小さくする必要があるだろう。 それは……僕だって十分に理解している。 だからこそ、何も言い返せなかった……。 !wait40 @134 ……\sくそっ。 せめて……リス君がいてくれれば……。 @1 でも、それはもう\r[叶,かな]わぬ願い……。 今までリス君だったものは…… \sフォックスさんになってしまっている。 かと言って、この場で もう一度リス君になってもらう ワケにもいかない……。 なにしろ、それが意味するものは……。 @131 ……。 @1 いや……たとえリス君だったとしても、 結果は今と変わらないだろう。 冬村さんの傷は……想像以上に深い……。 回復量の少ない『リスヒール』じゃ、 この傷を治すことは絶対に不可能だ。 それ以上の回復魔法か…… \sあるいは一瞬で病院に行く魔法……。 ぱっと思いつく限り…… それくらいの魔法じゃないと、 この状況は打開できそうにない。 !wait40 でも……。 それも……結局は無いものねだり……。 セトには「絶対に助かる」って言ったけど……。 正直……もう打つ手がなかった……。 !wait40 @134 ……\sどうすれば。 どうすれば……\sいいんだよ……。 @1 僕には……本当に どうすることもできないのか? このままだと…… \sまた「あの時」と同じように……。 !wait60 @0 !bgm !se(Action)ジュゴー !mvnil !mv倉庫街 @130 ……\sえっ? !wait30 !bgm神秘 @1 そう思った次の瞬間……。 僕の体全体が……不思議な感覚に 包み込まれていくのを感じた。 @130 こ、これって……。 @1 見た目には何の変化も無かったけど……。 まるで、閉め切った部屋の中を 急に風が吹き抜けていったかのように、 一気に辺りに広がっていく……。 そんな感覚に近かった……。 @130 ……。 !wait40 まさか……\sこの感覚は……。 @1 僕は以前にも、これとよく似た感覚を 体験したことがあった。 それは……リス君との戦闘訓練で 仮想空間にいた時の感覚……。 あの時と比較すると…… 周りの状況は何も変化していないし、 受ける印象もかなり違うけど……。 この目に見えない不思議な感覚には、 共通する何かがあるように感じた。 !wait40 でも……。 @802 @1 リス君は、もうここにはいない……。 目の前にいるフォックスさんが…… 何よりの証拠だ。 それに、元に戻ったドッペルゲンガーは、 変身していた相手の能力や記憶を 全て無くしてしまうはず……。 今のフォックスさんに、リス君の力は 絶対に使えないはずなんだ。 @130 ……。 !wait40 リス君じゃないとしたら……。 一体……これは……。 !wait40 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ @130 えっ……? !wait30 @400 ……。 @1 謎の感覚について考えていた僕の耳に、 突然、誰かの足音が聞こえてきた。 誰だろうと思って振り返ると…… \sそこには、うずくまっていたはずのセトが、 いつの間にか立っていて……。 そのまま僕の横を通り過ぎて、 冬村さんのすぐ近くまで歩み寄った。 @400 ……。 @130 ……\sセト? @400 離れていて。 @130 ……っ! !se(Action)跳ね @1 いつものセトとは、 まるで違う雰囲気だった……。 \r[唐突,とうとつ]に言われた、短く簡潔な 「離れていて」というたった一言……。 セトらしくない言葉には、 僕に対して有無を言わせない 迫力みたいなものがあって……。 僕はそれに押されるようにして、 反射的に後ろへ下がった。 @400 ……。 !wait40 @1 そうして、冬村さんの前に座り込んだセト。 自分の左手首に右手を軽くそえて、 その手のひらを傷口にそっと近づける。 すると……。 !wait30 !se(Action)シュイーン !wait20 !se(Action)シュイーン !wait20 !se(Action)シュイーン セトの左手に……\s淡く白い光が ぼんやりと輝き始めた……。 ……\sそして。 @400 ……\s『完治』。 !se(Action)シュビー !wait15 !se(Action)ジュゴー @133 ……っ! @802 なっ……。 @1 『完治』と、セトが一言だけ呟く……。 その瞬間、セトの手に輝いていた 白い光が一気に広がって……。 冬村さんの傷口を中心に、 体全体を優しく包み込んでいった……。 @802 な、なんだ……この光は……? @130 ……。 !wait40 魔法だ……。 @1 間違いない……。 この光から伝わってくる感触…… \sそして特徴的な\r[詠唱,えいしょう]呪文……。 リス君の『波動』や『リスヒール』と同じ…… \sいわゆる魔法と呼ばれるものだ……。 ……\s目の錯覚なんかじゃない。 セトが……\s魔法を使っているんだ……。 !wait40 @400 ……。 @130 ……\s傷が。 @802 ……\s消えていく。 @1 白い光に包まれ、みるみるうちに \r[塞,ふさ]がっていく冬村さんの傷……。 それに伴い、苦しそうだった表情も、 次第に穏やかなものへと変わっていった。 @130 ……\sあっ。 @1 しかも、それだけじゃない……。 リュウゾウや黒服との戦いで、 僕が体のあちこちに受けたダメージ。 完全に治るには、もう少し 時間がかかると思っていたのに……。 それが、すっかり治っていた……。 @130 ……。 @1 おそらく……この光だ。 冬村さんの傷を治している魔法の光……。 それが、近くで見ているだけの僕にまで 影響を与えているんだろう……。 ……\sそれくらい強力な魔法なんだ。 @400 ……。 !wait60 @1 傷口が完全に塞がったのを確認して、 セトがゆっくりと手を引っ込める。 すると……それに合わせて 白い光も徐々に小さくなっていき……。 辺りは、再び元の暗闇に包まれた……。 !wait40 !bgm !wait40 @130 ……。 !wait40 セ……\sセト……? @400 ……。 !wait60 @0 \c[6]フラッ…… @400 えっ……? !wait40 @402 あ……\s\f[20]あれっ……? \f[16]なんで……\s\f[12]急に……。 !wait60 !se(Action)ドゴン @1 ドサッ !bgm夜の静けさ @130 ……っ! @1 突然、崩れ落ちるようにして その場に倒れこんでしまったセト……。 それと同時に、辺りを包み込んでいた 不思議な感覚も、完全に消えてなくなった。 !se(Action)跳ね @133 セトッ! @1 僕は慌ててセトのそばに駆け寄り、 声をかけたり、肩をゆすったりしたけど……。 返事は……何も返ってこない……。 冬村さんに続いて…… 今度はセトが気を失ってしまっていた。 @130 ……。 @802 ……。 !wait40 俺は……\s夢でも見ているのか……? !wait60 !se(環境)サイレン @1 ファンファンファンファン @802 むっ、どうやら警察が来たようだな。 @1 ガサッ @802 村上シシト。 @130 ! は、はいっ! @802 これが俺の持っている証拠品の全てだ。 こいつを警察に渡してくれ。 @131 へっ? フォックスさんは? @802 ……俺は、まだ追われている身だ。 そんな奴がこの場に残っていたら、 何かと面倒なことになるだろう。 だから、警察が到着する前に この場を去ることにする。 @130 はあ、なるほど……。 ……。 @131 (確かに……倉庫の中には  フォックスさんの死体もあるからなぁ……) (おまけに……今は全裸だし……) @802 ついでに言えば、 今ならまだ監視カメラも 復旧していないはずだからな。 逃げる分には……そう難しくもない。 そういうワケで、 俺はもう行かせてもらうぞ。 後は、お前に任せる……。 !se(Action)跳ね !wait15 !se(Action)学内歩き @1 僕に証拠品を預けたフォックスさんは、 持ってきたコートを着ながら そそくさと歩き出した。 @802 ……。 !wait60 !bgm !se(Action)学内歩き !wait5 !se @1 しかし、少し歩いたところで…… フォックスさんは急に立ち止まって 僕の方を振り返った。 @802 それと、もう一つ……。 @130 えっ……? @802 ……。 !wait40 セトを……\s頼む……。 @130 ……。 @802 ……\sまた会おう。 !wait40 !se(Action)学内歩き @1 そう言い残して、フォックスさんは 真っ暗な倉庫街の中へと消えていった……。 !mvnil @0 !mv !wait80 @1 その後、駆けつけた警察関係者に 証拠品を渡した僕は……。 居合わせた孤狩刑事に事情を説明して、 二人を病院へと連れて行った。 ……。 冬村さんは……\sその途中で意識を取り戻した。 制服にはべったり血がついていたけど……。 検査の結果は……全くの無傷……。 これには、冬村さんだけじゃなく、 病院関係者の人もみんな驚いていた。 ……\sでも。 セトは……\s\r[依然,いぜん]として意識を失ったままだった。 僕は、冬村さんと二人で ずっとセトに付き\r[添,そ]っていたけど……。 セトの意識は戻らないまま、 やがて面会時間も終わってしまい……。 警察の事情聴取などもあって、 僕たちは、いったん病院を後にした。 !wait60 こうして……\s僕たちの証言と、 フォックスさんの証拠をキッカケに……。 0814フォックス事件は、終わりを迎える……。 ……。 ただ……。 そこに残された……新たなる疑問……。 気絶していた冬村さんには、 きっと何も分からないだろうけど……。 あの時、冬村さんの傷を治したのは…… \sフォックスさんの応急処置でも…… \sリス君のヒールでもない……。 セトの使った……\s魔法だったんだ……。 !wait60 きっと……\sそう遠くないうちに……。 今まで経験したことも無いような、 とんでもない出来事が待ち受けている……。 僕には……\sそう思えてならなかった……。 !wait100 @0 !mv \> \ \ \