#Silhouette Extra Tale 序章「覚醒の時」 !v27=2 !v28=2 !v35=2 !v36=2 ……ねえさん。 ……どうして? どうして……こうなっちゃったの? たすけてよ……ねえさん……。 !wait40 \f[32]Silhouette Extra Tale 序章 覚醒の時 -Awakening- !se(System)キー3 !wait80 !mv高校 !bgmけだるい午後 !wait20 @1 11月1日。 秋も深まり肌寒さを 感じ始めるようになった今日。 私はいつもの帰り道を 一人で歩いていた。 !se(Action)学内歩き @400 今日から11月か……。 さすがに冷えてきたな。 @1 私はそんな独り言を口にしながら歩いている。 別にいつも独り言を言っているのではない。 今日はいつもとは少し違っていたから。 @402 それにしても、 冬村さんどうしたんだろう。 @1 いつもなら 冬村さんと話しながら帰る道。 しかし今日、冬村さんは学校に来なかった。 休みの連絡もなく、 クラスのみんなが心配していた。 ……何かあったのだろうか。 色々な考えが 頭の中に浮かんでは消えていく……。 そんなことを考えながら、 私は薙島高校の近くを通り過ぎようとした。 しかしその時、下校する男子学生の中に よく見慣れた姿を発見した。 @100   @400 (……あ、シシト先輩だ) @1 それを見た私は足を止めた。 @400 (シシト先輩なら何か知ってるかな) @1 ふと、最近冬村さんとシシト先輩が 仲良さそうにしているのを思い出した。 この2人は塾でいつも 隣同士の席に座っているくらいだ。 それなら連絡も 取り合っているかもしれない。 ……。 ……でも。 できればそうじゃない方がいいな。 ……\sって何考えてるんだろう、私。 @402 (とにかく、まず話を……) !bgm @200 んじゃパンツ買って帰ろうぜ! @1 「さんせー!」 !bgmサブコミカル @401 (パンツ!?) (パンなら分かるけどなんでパンツ!?) @1 予期せぬ言葉を聞き、 私の思考は止まってしまった。 ……そういえば、 先輩の周りではこういう変なことが よくあるんだったな。 そう思いながらしばし立ち尽くしていた。 !mvnil !mv高校 !wait20 @402 あの〜、シシトせんぱ〜い? @1 謎の集団(?)がいなくなった所で 私はシシト先輩に声をかけてみた。 @104 うわあっ! @102 ああセトか、どうしたの? @400 いえ、 ただ通りがかっただけですけど……。 @100 そっか、ここは帰り道の途中だっけ。 @400 あの、さっきパンとか 何とかって聞こえましたけど……。 @100 パンツだよ。 @401 ガーンやっぱり!! @102 ? @400 あ、ところでシシト先輩。 @102 うん。 (立ち直り早いな) !bgm @400 冬村さん、知りません? 今日は朝から来てないし連絡ないしで、 みんな心配してたんですけど……。 !bgmけだるい午後 @100 さあ、君の方が知ってるんじゃ? @402 でも、最近冬村さんとシシト先輩って 仲が良さそうですから……。 @104 いつのまにそんな事になってんだ!? @400 塾でもいつも隣に座ってるし……。 @102 僕が逃げても冬村さんが ムリヤリ座ろうとするんです。 @400 へえ〜。 @102 なんかイヤな響きだぞ今の「へえ〜」。 @400 とにかく、冬村さんから 何か連絡行ってないかなと思って 聞きにきたんですけど……。 @100 残念だけど何も来てないよ。 @400 そうですか……。 あっ、それと……。 @100 ん? @1 私はふとお父さんの事を思い出した。 先輩にちゃんと お礼を言っておかないと。 @402 この前のこと、教えてくれて ありがとうございました。 お父さん、喜んでたみたいです。 @100 そうか……よかったね。 (にしても 『セトパパの知り合い=フォックス』 なんだよな……) @102 (ひょっとしてセトのお父さんも 近所にいたりしないだろうな) @400 ……先輩? @100 ねえ、セトのお父さんってどんな人? @402 私にパパって呼ばせたがります……。 @102 ……。 写真とかは残ってないの? @400 はい、そういうのは全然……。 @102 そっか……。 @100 とにかく、冬村さんのことは知らないや。 見かけたら連絡しようか? @400 えーと……。 じゃあ、お願いします。 @100 うん、分かった。 @404 では、また!(ピシッ) @100 うん、またね。 !se(Action)学内歩き !mvnil !bgm @0 !wait40 @1 結局、先輩は何も知らなかった。 ……ちょっとほっとした気がした。 でも、本当に冬村さんは どうしてしまったんだろう。 一回家に帰ってから 冬村さんの家に行ってみようかな。 ……あれっ? でも冬村さんの家ってどこだろう。 ……。 ……どうしようかな。 ……。 再び、色々な考えが 頭の中に浮かんでは消えていく……。 しかし、この不安は 決して消えることは無かった。 !mv住宅地 !wait20 @400 あ。 @1 気付いた時には、 私はもう自分の家の前まで来ていた。 @400 (もう家に着いたんだ) @402 (これからどうしようかな……) @1 家にたどり着いた頃には、 すでに頭の中は煮詰まってしまっていた。 ……何も考えが浮かばない。 焦りだけがこみ上げてくる。 @402 (……とにかく家に入ろう) !mvnil @1 一向に消息のつかめない冬村さん。 ……いやな予感がした。 不安だけがどんどん広がっていった。 もし大変なことに なっていたらどうしよう……。 冬村さんは…… 私の大切な友達なのに……。 !wait20 !se(Action)ドア開け そして私は家のドアを……。 !wait20 \c[4]……後ろ。 !mv住宅地 @400 え? @1 ……開けようとして手を止めた。 誰かの声が聞こえた気がして、 私は後ろを振り返った。 ブオオオォォォ…… ……。 見ると、一台の黒い車が 家の前を通り過ぎていく。 ……一瞬の出来事。 すでにドアのところにいた私からは、 家の門の間を黒いものが 横切った程度にしか見えないだろう。 しかし、この時私にははっきりと見えていた。 それは……。 @100   @410   @1 私にとって最も大切な2人の姿だった……。 !bgm緊迫状況 @404 ! @1 私はすぐ道路へと駆け出した。 そして家の門から顔を出して 黒い車の走っていった方向を見た。 しかし、黒い車の姿は すでにかなり小さくなっていた。 @402 そ、そんな……。 今見えたのは 確かにシシト先輩と冬村さんだった。 これってどういうこと? @1 私にはあれが見間違いだとは思えなかった。 あれは間違いなく2人だ。 でも……何で? 朝から連絡のつかなかった冬村さん。 さっきまで話をしていたはずのシシト先輩。 その2人が今車に乗って、 \sいや乗せられてどこかへと向かっている。 ……いよいよ不安が現実味を帯び始める。 @404 そ、そうだ。 シシト先輩のケータイに! !se(Action)カチャッ @1 私はとっさにケータイを取り出して シシト先輩のケータイに電話をかけてみた。 ……\sケータイからは ただただ呼び出し音が 繰り返されるだけだった。 @404 じゃあ冬村さんのは! @1 今度は冬村さんのケータイにもかけてみる。 しかし結果は同じだった。 @402 やっぱり出ない……。 @1 2人が乗せられた黒い車。 そして誰も出ないケータイ。 断片的な情報から 1つの結論が導き出される。 2人は、\s何者かに誘拐された! @404 こういうときは警察に電話を。 !se(System)ピッ !wait10 !se(System)ピッ !wait10 !se(System)ピッ !wait10 !se(System)ピッ !wait10 @1 今度は警察への電話番号を押し始める。 @400 ……あ。 @1 しかし発信ボタンを押す手前のところで 私は手を止めた。 もし、\sこれが誘拐だとしたら……。 もし、\s警察には連絡するなと 犯人に言われていたら……。 もし、\s警察に連絡してしまったら……。 そんな刑事ドラマでありがちな 誘拐事件の展開が頭をよぎる。 しかし今起きているのは紛れも無い現実。 もしもは通じない……。 @402 ……。 !se(Action)カチャッ @1 私は結局そのままケータイを閉じた。 警察には連絡できない。 それに、ひょっとしたら 私の見間違いかもしれない。 いや、むしろそうであって欲しかった。 しかし今見たのは……。 @404 と、とにかくあの車を探さないと! !se(Action)跳ね @1 私はカバンを家の玄関に放り投げ そのまま外へ駆け出した。 !mvnil 車の行く先は分からない。 でも、探さないわけにはいかない。 もしあの2人の身に何かあったら、 私は……。 ……。 ……。 !bgm ……。 @0 !wait40 !v5=1 !mv海岸公園 !bgm夜の静けさ !bgs(環境)波の音 !wait20 @402 はあ〜。 @1 どこを探したのか、 どれくらいの時間がたったのか。 それすらも忘れるほど 私は必死になって走り回った。 しかし、2人どころか、 あの黒い車さえも見つけられなかった。 そして私は今 海岸公園のベンチで休んでいる。 辺りはすでに薄暗くなり始めていた。 @402 一体、何が起こっているの? @1 体を休める代わりに、 今度は頭が活動を始める。 そもそも、何でこうなってしまったのか。 何でシシト先輩と冬村さんが……。 @400 ……あ。 @1 1つの事実に思い当たる。 @402 もしかして……私のせい? !mvnil @1 ある日お父さんからかかってきた電話。 内容は、4年前に テロリストに撃たれた男友達がいないか? というものだった。 そして岸先輩からの情報で、 それがシシト先輩のことだったと知った。 私はさっそく連絡していいかを尋ねてみた。 @100 『うん、いいよ。』 @1 私のお父さんの頼みだからと、 シシト先輩はすぐ了承してくれた。 でも……。 @102 『あー、でも危ないことに 巻き込むのはカンベンって言っといて。』 @1 しかし、シシト先輩と冬村さんは 巻き込まれてしまった。 もし、私がこのことを伝えていなければ……。 2人がこんな目にあうことは なかったんじゃないのだろうか……。 ……。 !mv海岸公園 !wait20 @404 ! そんな風に考えちゃダメっ! まずは動かないと! !se(Action)跳ね @1 考えるよりまず行動。 悪い方向に考えていても何も始まらない。 私は再び立ち上がった。 @400 とりあえず、次は倉庫街に行ってみよう。 !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se @1 そして再び駆け出した。 !bgs !mvnil @0 !wait40 !mv倉庫街 !bgmサスペンス !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se @402 はぁ……はぁ……。 @1 私は倉庫街の中を走っていた。 まだ日は出ていたが、 倉庫街は真夜中の街のような 静寂に包まれていた。 @402 こっちにはいないみたい……。 @400 次はあっちに行ってみよう。 @1 私は休むことなく 再び別の方向に向かって走り始める。 その時だった。 !bgm !wait40 !se(Action)爆発音 \f[44]ドオオオォォォン!! !bgm緊迫状況 @401 わっ!! @1 突如として すさまじい爆音が静寂を切り裂いた。 「キャー!」 @404 ! @1 その直後、 轟音の中に聞き覚えのある声が聞こえた。 ……間違いない。 @404 ふ、冬村さん! @1 私は辺りを見渡した。 @404 ……あの倉庫から煙が。 @1 あそこに冬村さんがいる。 そしておそらくシシト先輩も……。 @404 ……っ! !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se @1 一瞬だけ立ち止まった後、 私はその倉庫に向かって走り出した。 !mvnil !bgm !se(Action)重いドア開け そして、分厚い鉄の扉を思いっきり開いた。 !wait40 !mv倉庫内部 !wait20 @404 冬村さん! @410 え? @1 扉を開けると、 私のすぐ目の前に冬村さんがいた。 @132 なっ!? @1 そのそばには ミニスカートをはいた女の子がいた。 @802 ……セト? @1 そこから少し離れたところには なぜか服を着ていない男の人が。 @620 む……。 @1 そしてさらにその奥に 倒れこんでいる男の人がいた。 @410 い……犬山さん? @1 時間が凍りついたかのような空間。 みんなの視線が私に集中していた。 @620 ……。 !wait20 ニヤ !se(Action)カチャッ @1 その一瞬をつき、 倒れていた男が銃を構えた。 !bgm緊迫状況 @133 ! @802 しまった! !se(Action)カチャッ @1 全裸の男の人も遅れて銃を構える。 @133 2人とも、伏せて! @1 そして女の子が私たちにそう言った。 @402 ……っ! @1 しかし、突然の出来事に動揺したのか。 私は動くことができなかった。 !se(Action)跳ね !v36=1 @413 犬山さん! !v36=2 !bgm !se(Action)銃声 !wait5 !se(Action)銃声 !mvnil @0 @1 突如として暗転する視界。 その中で、私は2つの 銃声を聞いた。 !mv倉庫内部 @402 ……。 @1 再び視界が元に戻ってくる。 気付くと私は床に倒れていた。 @620 ぐっ……。 @1 倒れていた男の人が 遠くで肩を押さえている。 銃弾の1つは、 \s男の人の肩に当たっていた。 @402 ……あ。 @1 ふと自分の前の床を見てみる。 そこには、 私の目の前でうつぶせになって倒れている 冬村さんがいた。 @412 だ、大丈夫?犬山さん。 @1 私は冬村さんによって 突き飛ばされていた。 そして冬村さんは……。 !wait20 「うっ……。」 !bgm緊迫状況 @402 え? @1 みるみるうちに、 冬村さんの制服に赤い色が広がっていく。 もう1つの銃弾は、 \s冬村さんに命中していた。 @402 あ、ああ……。 @132 うおー!!冬村さーん!! @802 リュウゾウ、キサマっ! @620 ふっ、もうここまでだな。 !se(Action)カチャッ @1 ←(自分のこめかみに拳銃を突きつける) @620 先に地獄で待っているぞ、ジェイク……。 @1 !bgm !se(Action)ハンドガン ドンッ! @802 なっ……。 ……。 クソッ、馬鹿めっ! @402 冬村さん!冬村さんっ!! @410 ……。 @1 冬村さんから返事は返ってこない。 冬村さんは、気を失っていた。 すでにかなりの量の血が 流れてしまっているようだった。 @133 とにかくここはもう危ない! 脱出するよ! !se(Action)跳ね @1 そういうと、女の子は冬村さんを担ぎ上げた。 @130 ニセフォックスさんも!早く! @802 ああ……。 @402 ……。 @133 セト、早くこっちに! @402 あ、はい……。 !bgm !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !mvnil @0 !wait40 !mv倉庫街 !bgmサスペンス !wait20 @1 倉庫は炎をあげて燃えさかっている。 そこから少し離れたところに私たちはいた。 @410 ……。 @1 冬村さんは依然として意識が戻らない。 @802 くっ、出血がひどい。 このままでは病院までもつかどうか。 @130 そんなっ……。 @802 俺もできる限りの応急処置はしてみる。 あまり期待はできんがな……。 @402 ……。 わ、私のせいだ……。 私があそこでやってこなければ……。 私のせいで冬村さんは……。 @133 違う、セトは何も悪くない! @802 そうだ、あまり自分を追い込むんじゃない。 @402 あ……う……。 !se(Action)跳ね @1 私はその場でうずくまってしまった。 !mvnil !bgm @0 !wait40 !bgs(環境)心拍 @1 ……。 目の前が真っ暗になる……。 もう周りの人の声も よく聞こえていない……。 ……。 ……このままでは冬村さんが。 私の大切な友達が死んでしまう。 私の……せいで……。 ……。 ……お願い。 お願いだから……。 誰か……。 誰か……助けてっ!! ……。 ……。 !wait40 !bgs \c[4]助けられるよ。 ……えっ? \c[4]私の力を使えば彼女を助けられるよ。 その声は……あの時の……。 \c[4]どうする? ……本当に助けられるの? \c[4]もちろん、約束するよ。 だったらお願い! \c[4]その代わり、助けた後は私の勝手に……。 もうっ! 今はそんなことどうだっていいよ! 助けられるなら、お願いだから助けて! 早くしないと冬村さんがっ! \c[4]……。 \c[4]……分かった。 \c[4]じゃあ……いくよ。 !wait40 !mv倉庫街 !bgm夜の静けさ !wait20 @133 冬村さん、しっかりするんだ! @410 ……。 @802 ……。 ……これ以上の応急処置はもう無理だ。 !se(Action)跳ね @133 だったら僕が病院まで! @802 よせっ、無理に動かすな! また傷が開いて出血してしまうぞ! @133 くっ……。 ……くそっ! !se(Action)ドゴン @1 僕はやり場の無い思いを 右手に込めて地面を殴りつけた。 @134 せめてっ、せめてリス君がいれば……。 @1 しかしそれもかなわぬ願い。 今までリス君だったものは 今はフォックスさんとなっている。 @130 ……。 @1 いや、例えリス君であったとしても、 今のフォックスさんと同じ結果であろう。 それほどまでに、冬村さんの傷は深かった。 @134 どうすれば……。 @133 どうすればいいんだ! @1 僕には…… どうすることもできないのか? このままでは、 あの時と同じことに……。 !bgm !se(Action)ジュゴー @1 バシューン @130 ……\sえ? !bgm神秘 @1 その時、突如として不思議な感覚が 僕の周りの空間に広がるのを感じた。 見えてはいないのに、 自分の体にまとわりつくような 不思議な感覚。 @130 これは……。 @1 僕は以前これに近い感覚を 体験したことがある。 それは以前リスバトルで リス君の波動を喰らった時の感覚。 そしてリスヒールをもらった時の感覚。 性質は異なるが、 この目に見えない不思議な感覚には 共通する何かが感じられる。 ……これが、魔法というものなのか。 でも……一体なんで? @400 ……。 @130 え? @1 気付くと、さっきまで うずくまっていたセトが 冬村さんの近くに立っていた。 @130 ……セト? @400 離れていて。 @130 っ! !se(Action)跳ね @1 それはいつものセトとは まるで違う雰囲気だった。 僕はその雰囲気に押されるように 慌てて冬村さんのそばから離れた。 @400 ……。 @1 冬村さんのそばに座り込むセト。 その両手には、先ほどから白い光が 集まっていくのがはっきりと見えた。 @400 ……。 !se(Action)シュイーン !wait10 !se(Action)シュイーン !wait10 !se(Action)シュイーン !wait10 !se(Action)シュイーン !wait10 !se(Action)シュイーン !wait10 @1 そしてその両手を冬村さんに近づける。 @400 ……\s完治。 !se(Action)ジュゴー @1 セトがそう言うと、 両手の光が冬村さんを優しく包み込んだ。 @802 こ、これはっ! @130 ……魔法? @1 それはリス君の使っていた リスヒールと同じような感覚。 しかし、その光の強さは 比べものにならない。 おそらく、 リスヒールよりも強力な魔法なのだろう。 そう直感した。 @410 ……。 @130 ……傷が。 @1 光に包まれた冬村さんの傷は みるみるうちにふさがっていく。 それに伴い、冬村さんの表情も どこか穏やかになっていった。 @400 ……。 @1 傷が完全にふさがるのを確認して、 セトはゆっくりと手を下げた。 そして、手の白い光もまた ゆっくりと消えていった。 !bgm @130 ……。 ……セト? @400 ……。 @1 グラッ @402 うっ! !se(Action)ドゴン @1 ドサッ @130 !? @1 突如倒れるセト。 それと同時に、辺りを包んでいた 不思議な感覚も消えていた。 !se(Action)跳ね 僕は慌ててセトに駆け寄った。 @133 セト!! @1 返事は無い。 今度はセトが気を失っていた。 !bgm夜の静けさ @130 ……。 @802 ……俺は夢でも見ているのか? !se(環境)サイレン @1 ファンファンファンファン @802 むっ、警察か。 @1 フォックスさんはそう言うと 持っていたコートの中身を取り出した。 @802 村上シシト。 @130 ! は、はい。 @802 これが俺の持っている証拠品の全てだ。 こいつを警察に渡してくれ。 @130 フォックスさんは? @802 俺はまだ追われている身だからな。 この場に残ると色々と面倒だ。 だから警察が来る前にこの場を去る。 @131 (その上全裸だからね) @802 幸いにして、 まだカメラは復旧していないはずだからな。 では、俺はもう行くぞ。 !se(Action)学内歩き @1 フォックスさんは コートを着ながら歩き出した。 @130 ……。 @802 ……それともう1つ。 !se(Action)学内歩き !wait5 !se @1 そう言うと、フォックスさんは 足を止めてこちらを振り返った。 @802 セトを頼む……。 @130 ……。 @802 ……また会おう。 !bgm !se(Action)学内歩き @1 そういい残して フォックスさんは去っていった。 !mvnil @0 !wait40 @1 僕はその後、孤狩警部に事情を話し、 2人を病院へと連れて行った。 冬村さんは病院へ行く途中で 意識を取り戻した。 制服こそ血が付着していたものの、 全くの無傷。 病院関係者の人も 目を疑うことだった。 ……だが。 セトは…… \s依然として意識を失ったままだった。 その日は僕と冬村さんの2人で 面会時間ギリギリまでセトに付き添った。 しかし面会時間も終わり、 僕たちはいったん家へと帰った。 ……。 ……冬村さんは 気絶していて分からなかったが。 あの時、確かにセトは魔法を使っていた。 ……。 こうして……。 0814フォックス事件は 終わりを迎える……。 しかし……。 そこには新たに1つの疑問が残された。 ……。 これから先、 また何かが起ころうとしている。 僕にはそう思えてならなかった……。 !wait80 @0 Another story started by centering on one girl now. This story continues.