#Silhouette Extra Tale 第1章「見知らぬ世界」 !v27=2 !v28=2 !v35=2 !v36=1 ……私には姉さんがいた。 姉さんは怒りっぽくて しょっちゅう私をからかっていた。 そのたびに私は泣かされた。 でも、その後で 姉さんはいつもすっごく謝ってくれた。 ……姉さんは私の憧れだった。 でも、もう会うことはできない……。 私と姉さんは 別々の世界にいるのだから……。 !wait40 \f[32]Silhouette Extra Tale 第1章 見知らぬ世界 -Unknown- !se(System)キー3 !wait80 !mv301教室 !bgm高校 !se(環境)キンコンカンコン !wait200 !se @300 よーし、本日のHRはこれで終了。 学級長、あいさつを。 @220 起立、礼。 @1 \f[32]ありがとうございました! !wait20 @202 あー、やっと終わったぜ。 @102 午前中授業なんだから そこまで疲れないよ。 しかもこの前まで土日はさんで 4連休だったじゃないか。 @200 それにしても本当に突然だったな、 今回の長期連休は。 @250 あれだけの大事件が起きたんだから 当然と言えば当然だな。 @200 ああ、シシト様様だぜ。 @101 こっちは身の危険が迫ってた 事態なのに喜ぶんじゃなーい!! @250 村上ならどんな状況でも 生き残りそうな気がするがな。 @200 ああ、トラックに轢かれても 平気なくらいタフだし。 @102 ……真っ向から否定できない 自分がいます。 @1 11月1日のあの事件からすでに1週間。 その間アクアフロートは この事件で大騒ぎになった。 何しろ爆発事件と、 アクアフロート警察の副所長が 麻薬組織を仕切っていたという事件だ。 本州だったとしても 大きなニュースとなっただろう。 @102 (実はその裏でパンツ消失事件 なんていうものもあったんだけどね) @1 そして事件のおかげで その週の学校は全休に。 さらにその翌週、 つまり今週は午前中授業になった。 ちなみに、 誘拐事件のことは公にはされていない。 孤狩警部と御大警部のはからいだった。 だから、このことを知っているのは 僕を含めてごく少数の人だけである。 @200 ってわけで、ゲーセン行こうぜ。 @250 うむ、そうこなくてはな。 @102 珍しくアルバートが乗り気だ。 @250 最近分かったのだが、ゲームセンターの ゲームには反射神経などの訓練に いいものが多いと分かってな。 勝ち続ければ金も余り減らないし、 いいトレーニングになるんだ。 @102 ……一応聞くけど 何のためのトレーニング? @251 もちろん拉致をするための トレーニングだ!! @202 ……。 お前まだそんなことやってんのかよ……。 @102 ……本当にそのうち捕まるぞ。 @250 安心しろ、逃げるトレーニングも 抜かりはない。 @102 ……。 @200 で、シシトはどうすんだ? @100 ごめん、今日も病院行ってくるから。 @200 ……そっか。 まあ分かってたことだけどよ。 @102 じゃあ聞かなくてもいいじゃん。 @200 でもどうせ病院行った後でも 時間はあるだろ? それからでもいいから来いよ。 たまには息抜きしないと体に悪いぜ。 @100 そうだね、 あまり遅くならないようだったら行くよ。 @200 よし、約束だぜ。 @250 待っているぞ村上。 お前にも俺のトレーニングの成果を 見せてやるからな。 @102 ……別に見せてくれなくてもいいよ。 !wait20 @100 じゃ、僕は先に行くね。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ @250 ……行ってしまったな。 @200 ああ……。 @250 あれから村上は毎日こうしているのか? @200 アイツは昔からこうなんだよ。 中学ん時、 俺が熱出して2、3日学校休んだ時も 毎日見舞いに来てくれたくらいだぜ。 @250 しかし、もう1週間になるのか。 @202 さすがに心配だよな。 @250 だが異常があるわけでもないんだろう? @200 医者が言うには いつ起きてもおかしくはないらしいからな。 @250 むう……。 @200 ……早く元気になって欲しいな。 @250 ……そうだな。 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 !mv塾 !bgmほんわかムード !wait20 !se(Action)学内歩き !wait35 !se(Action)学内歩き !wait35 !v27=1 @100 403号室はこっちと……。 @1 僕は複雑な病院の中を 迷うことなく歩いていた。 1週間ずっと通い続けたのだ、 目指す場所への道のりはもう覚えている。 ほとんど通学路を歩くような感覚だった。 「おや、シシト殿。」 @100 ん? @1 不意に聞き覚えのある声に 呼び止められた。 @550 今日も友達のお見舞いですかな。 @100 まあ、そんなところです。 @550 うむうむ、感心ですな。 @102 ってかボウズさんも最近よく会いますね。 @550 あまり体調が優れませんでな。 @102 (まああんな色になれば当然だよな) @551 ←調子が良ければ顔色も この通り良くなるものですが。 @101 それ絶対間違ってるだろー!! @330 病院内で大声出すんじゃないよ。 @102 あ、すいません。 @330 今度騒いだらおしおきだよ\wh @105 ガクガク @550 ほっほっ、元気があるのはいいことですが あまりはめを外してはいけませんぞ。 それでは、ワシはこれにて。 @100 あ、はい、また。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ @100 ……。 ……さて。 !se(Action)学内歩き @1 そして僕は再び歩き始める。 !wait40 !mv保健室 !bgm !wait20 !se(Action)学内歩き !wait35 !se(Action)ドア開け !wait20 !bgm安らぎ @100 あれ? @1 そこにはすでに先客が来ていた。 @500 ……村上シシトか。 @102 その声はフォックスさん? @500 ああ、1週間ぶりだな。 @102 まだ変装しているんですか? @500 この姿の方が都合がいいからな。 @102 ……なるほど。 @1 小さな個室には ベットが2つ並んで置いてある。 1つは1週間前から空いたままのベット。 そのベットには 今フォックスさんが腰掛けている。 そしてもう1つベットには……。 @100 セト……。 @1 いまだに意識の戻らないセトが寝ていた。 @500 もう1週間もこのままなのか……。 @100 でも、そろそろ目を覚ます頃だって 言ってましたよ。 @500 ……そうか。 @1 これは医者の言っていた事ではない。 実は1週間前のあの日、 僕は電話で女神様に セトの症状について聞いてみた。 すると女神様が言うには、 それは魔法使い特有の症状と同じだというのだ。 なんでも、術者の能力と 魔法の難易度との差が大きいと、 反動で気絶してしまうことがあるらしい。 そしてこれによって気絶した場合、 目が覚めるまでには 最長で10日程かかるそうだ。 これほど的確な診断ができる医者なんて この世界にはいないだろう。 @100 ……そういえば、 セトのおじいさんはどうしたんだろう。 確かセトと2人暮らしだったはず。 @500 親父には適当な理由をつけて ツアー旅行に行ってもらっている。 あと1週間は戻ってこないだろう。 @102 いいんですか、そんなんで……。 @500 下手に1人にするよりは安全だ。 親父は最近徘徊癖がついているからな。 @102 なるほど……。 え? !wait20 @100 今、親父って……。 @500 ああ、そういえば言っていなかったな。 俺の名前はジェイク・ドライエル。 そして妻の名は犬山フミヨ。 @100 ……やっぱり。 @500 分かっていたのか。 @102 あの時の対応を見ていて 何となくそうだなと。 @500 では、代わりに俺からも 質問させてもらっていいか? @100 何ですか? @500 ……。 !wait20 !bgm ……俺は、\s死んだのか? !bgm黄昏 @100 ……。 @500 銃で頭を撃たれた感覚は 確かにあった……。 そしてあそこに転がっていた、 眉間を撃ち抜かれた死体。 ……俺は一体何だ? @100 ……。 実は神様にお願いして 一回だけ生き返らせてもらった。 @102 って言ったら信じる? @500 ……。 ……信じる。 @102 ……普通は信じられませんよ。 @500 ……そうかもな。 だが、あの冬村サユキの傷を 治した力があるのだ。 神がいたって不思議ではないと思ってな。 @100 ……それもそうか。 @1 冬村さんの傷を治したのが セトであるということは 僕とジェイクさんしか知らない。 それにしても……。 @100 (なんでセトは魔法が使えたんだろう) @1 女神様に聞いても 詳しい原因は分からずじまいであった。 あれから1週間、 考えてみても答えは一向に浮かんでこない。 ただ、セトの回復を待つ以外 それを知るすべはないように思えた。 !wait20 !bgm !se(Action)ドア開け ガチャ ふいにドアを開ける音がした。 !bgm安らぎ @410 あ、シシト君も来てたんだ。 @1 それは冬村さんだった。 冬村さんもこうして毎日 セトの様子を見に来ていた。 @100 やあ、冬村さん。 @410 こちらのおじいさんは? @500 ……フォックスだ。 @410 ……1週間見ないうちに だいぶ老けましたね。 @500 ガーン!! @102 いや、これ変装だからね。 @412 あ、そうなんだ、ごめんなさい。 @100 でも正体を明かしたりしても いいんですか? @500 冬村サユキは 俺の正体を知っているからな。 それに娘の大事な友達だ、 隠しておくわけにもいくまい。 @410 え、ってことは……。 @100 実はかくかくしかじか。 @500 (便利な言葉だな) @410 犬山さんのお父さんだったんですか……。 @500 この事は他の者には言わないようにな。 この姿の時は セトの祖父ということにしておいてくれ。 もちろん、セトにもな。 @410 犬山さんにも内緒なんですか? @500 色々とわけありでな。 まだ喋るわけにはいかない。 @100 分かりました。 @410 バルトおじいさん、ですね。 @500 ああ、それでいい。 @102 (これはこれで紛らわしいな) @500 とにかく2人とも、 見舞いに来てくれてありがとう。 @100 別に改まらなくてもいいですよ。 @410 そうですよ、 犬山さんは友達なんだから当然です。 @500 ……ふっ、そうか。 娘はいい友達を持ったのだな。 !bgm @1 「……ん。」 @100 ! @410 ! @500 ! @1 一瞬にして静寂に包まれる病室。 その中で、1つの声だけが木霊する。 「う……うーん。」 「……。」 !wait40 @400 ……。 @1 ゆっくりと、セトは目を開いた。 そしてまだ寝起きの目をこすりながら 辺りの様子をうかがう。 @400 ここは……。 @100 病院だよ。 @400 病院……? @500 お前は1週間ずっと眠っていたんだ。 @412 犬山さん……。 @1 突然の目覚めに、 僕たちは喜びを通り越して少し戸惑っていた。 @400 ……。 @100 ……。 @1 ふと、セトと目が合った。 まだ半開き状態の目ではあったが、 その透き通るような青い瞳は 確かに僕の方に向けられていた。 @402 ……。 @100 ? @1 しかし僕の顔を見たあと、 セトは表情を曇らせた。 @102 ……セト? @402 ……。 あ、あの……。 すごく失礼にあたると 思うんですけれど……。 !wait40 !mvnil @1 「あなたは、誰ですか?」 !wait60 !bgmサスペンス @500 記憶喪失!? @1 「ええ、どうやらお孫さんは 自分に関する記憶のほとんどを 思い出せない状態のようです。」 @500 そんなっ! @1 「突然倒れて、起きたら記憶喪失に なっていたという事例は過去になくて……。」 「すみませんが、 原因については何も分かりません。」 @500 ……。 ……先生。 むす……孫は元に戻るんですか? @1 「脳波の異常や頭部への外傷等は 特に見受けられませんでした。」 「おそらく、一時的な 記憶喪失だと思われます。」 「時間が経てば何かの拍子で 忘れていたことも思い出せるでしょう。」 @500 そうですか……。 @1 「では、話は以上です。」 「早くお孫さんのところに 行ってあげてください。」 「この場合の治療には、 お孫さんと親しい者によるケアが 何よりの特効薬になりますから。」 @500 はい、ありがとうございました。 !wait40 !bgm !wait20 !mv保健室 !bgm安らぎ !wait20 @400 私の名前は犬山セトで……。 今はバルトおじいちゃんと 2人暮らしをしているんですね。 @100 うん、そうだよ。 @410 本当に何も覚えていないんだね……。 @402 ……ごめんなさい。 @412 あ、ううん、気にしないよ。 ゆっくりと思い出してくれればいいからさ。 @100 そうだね、焦っちゃいけないよ。 @404 ありがとうございます。 冬村さん、村上さん。 @102 ……村上さん? @400 あれ?名前は村上シシトさんで 合ってましたよね? @102 うん、間違ってはいないんだけどさ。 妙な違和感が……。 @410 犬山さんはシシト君のこと 下の名前で呼んでいたんだよ。 @400 そうだったんですか……。 @100 だからさ、セトも 下の名前で呼んでくれていいよ。 @402 え、でも……。 @102 僕だって君の事 セトって呼んでるわけだしさ。 お互い様だよ。 @400 ……。 じ……じゃあ……。 !wait20 @403 ……し、\sシシトさん……。 @410 はい、よく出来ました。 @102 ……なぜ照れるんだ。 (シシトさんか、何だか変な気分だ) (まあ、このくらいならしょうがないか) !se(Action)ドア開け @1 ガチャ @500 ふうっ。 @100 あ、バルトさんお帰りなさい。 @410 先生は何て言っていましたか? @500 特に問題はないそうだ。 記憶喪失も一時的なものらしい。 @100 そうですか……。 @412 ……よかった。 @500 それと、もういつ退院させても 問題はないと言っていた。 @410 じゃあ早く退院した方が いいんじゃないんですか? @100 記憶喪失なら、ここにいるより 普段の生活をしていた方が 思い出しやすくなるだろうしね。 @500 うむ、俺も確かにそう思う。 しかし問題があってな。 @100 問題? @500 仕事上、俺は同じところに 長く留まっている事はできないんだ。 今日来られたのも、 たまたま時間があったからだ。 次はいつになるか分からない。 @410 お仕事を休むことはできないんですか? @500 あいにく、そういうことが できない世界だからな……。 それに、俺がいつまでもそばにいたら セトにまで危険が及ぶ可能性もある。 @410 そうなんですか……。 @412 すいません、事情もよく知らないで こんなこと言って。 @500 いや、当然のことだ。 俺はひどい父親さ。 それに、セトは俺についての事は 何も知らないはず。 俺がケアをするには限界がある。 @102 (そういえばセトもお父さんについては 何も知らないって言ってたな) !wait20 @400 あのー、何の話をしているんですか? ←(小声で話していたため さっきの会話が聞こえていない) @100 セトが退院した後 どうしようかっていう相談だよ。 @500 ワシはしばらく家にいられないからな。 @402 おじいちゃん家にいないんですか……。 @500 ……。 ……なあ、セト。 @400 何? @500 できればパ……グランパと 呼んでくれないか? @400 グランパはおじいちゃんって意味だから おじいちゃんで問題ないですよね。 @500 ガーン!! @102 ……何気にひどいなセト。 (本当に自分の事パパって 呼ばせたがるんだな) @500 しかし、どうしたものか……。 @410 特に病気でもないのに いつまでも病院にいるのも嫌だしね。 @100 ……。 !wait20 あの、バルトさん。 @500 なんだ? @100 だったら僕の家でセトを預かりますか? @400 えっ? @500 ……。 @102 ? バルトさん? @500 ……村上シシト。 @100 はい? !bgm !se(Action)カチャッ @500 キサマ、セトを自分の家に連れ込んで 何をやらかす気だ? ←(無表情で拳銃をシシトに突きつける) !bgm緊急事態 @401 けけけ拳銃!? @104 いや、何もしませんからっ!! @410 シシト君ってそういう人だったんだ……。 @101 冬村さんも誤解しないで!! @500 じゃあ何だというのだ? !wait20 !bgm安らぎ @102 僕の家なら人が1人増えても 問題なさそうだから いいかなって思っただけです。 @402 で、でもそれってシシトさんや 家族の人に迷惑がかかるんじゃ……。 @102 いや、ウチの家族なら大丈夫さ、 何が起きても動じないから。 事情を説明すれば きっと承諾してくれるよ。 @400 はあ……。 @100 それに、セトも昔何度か 家に遊びに来たことがあるしね。 家族とも面識があるし、 今考えられる方法では これが一番最良だと思う。 @500 むう……確かにな……。 @410 家族の人も判っているなら それが一番なのかもね。 @102 まあ、後はセト次第だけどね。 @402 え、えーと……。 @102 心配しなくても、 ウチの家族はいい人だから大丈夫だよ。 (僕以外に対しては) @400 ……。 !wait20 @403 じ、じゃあ……\sそれでいいです。 @500 ……。 ……分かった。 俺からもお願いしよう。 だが、セトに何かあったときは 覚悟しておけよ。 @102 ……努力します。 @412 (犬山さんが元気になったら 今度は私が泊まりに行きたいな……) !wait20 @100 じゃあさっそく母さんに電話しよう。 !se(System)ピッ !wait10 !se(System)ピッ !wait10 !se(System)ピッ !wait10 !se(System)ピッ !wait10 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 @1 僕は今回の事情を母さんに説明した。 予想通り、母さんは セトの宿泊を快く了解してくれた。 しかし、あの赤飯発言だけは どうにかならないものだろうか。 この時はジェイクさんに 本当に撃たれるかと思った……。 ……。 まあ、そんなこんなで。 セトは起きたその日のうちに退院した。 そして僕たちはセトの家で色々と用意をすませ、 僕の家へ向かった。 その間も、僕と冬村さんは セトと色々な話をした。 アクアフロートで始めてあった時の出来事。 学校での出来事。 休日の出来事。 どれもこれもまだ新鮮な記憶であった。 しかし、セトはどうにも それらを思い出せないようであった。 ……。 ……だが。 話をしている時のセトは終始明るかった。 それだけが唯一の安心材料であった。 ……。 そして、 僕の家に着いた時にはもう夜になっていた。 !wait60 !v5=1 !mv住宅地 !bgm夜の静けさ !wait20 @100 着いたよ。 !v35=1 @400 ここがシシトさんの家ですか。 @410 それじゃ、私はこっちだから。 @100 あれ、冬村さんはもう行くの? @410 こういうのは家族同士のお話だからね。 私は先に失礼するよ。 @100 そっか。 @412 犬山さん、明日学校が終わったら また会いに来るからね。 @404 はい、今日はありがとうございました! @410 うん、じゃあまた明日ね。 @100 さよなら、冬村さん。 @400 さようなら。 @500 またな。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait20 @100 さて、それじゃ入ろうか。 @400 はい。 !wait40 !mv自宅 !bgm !wait20 !se(Action)ドア開け !wait20 !bgm安らぎ @100 ただいま。 @110 おかえりなさい。 @400 おじゃましまーす。 @111 あら、邪魔するなら帰っていいわよー。 @401 えー!? @110 冗談よ。 @111 いらっしゃい、セトちゃん。 @500 (本当に大丈夫だろうか……) @110 そちらがバルトさんね。 @100 うん。 @500 はじめまして、 この度は孫を預かってくれて ありがとうございます。 どうか孫をよろしくお願いします。 @111 はいはい、おまかせください。 @500 では、私はこれで。 @402 おじいちゃん、気をつけてね。 @500 ああ、またすぐ来るからな。 @100 さようなら、バルトさん。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait20 @111 せっかちねー。 @102 しょうがないよ、 バルトさんも色々忙しいからさ。 !wait20 @120 あら、帰ってたのね。 @100 姉さん。 @120 セトちゃん、久しぶりね。 @400 あ、はい。 !wait20 @402 えーと……。 @100 僕の姉のシイナだよ。 @102 それとそっちが母のスズナです。 @120 姉を呼び捨てにするとは、 随分偉くなったわねシシト。 @111 そっち呼ばわりされたら 母さん泣いちゃうわよ〜。 @102 いや、他に説明のしようがないでしょ。 てか笑顔でそんなこと言わないで。 (逆に怖い) @402 すいません、 私が覚えていないせいで……。 @100 別にセトが謝ることじゃないよ。 @120 そうよ、困った時はお互い様よ。 @110 私たちも協力するから がんばりましょうね。 @404 ……みなさんありがとうございます。 私もがんばって 一日でも早く思い出せるよう努力します。 @120 そうそう、プラス思考は大事よ。 @110 それじゃあ、 冷めないうちに御飯にしましょう。 @111 今日のメインはから揚げよっ\wh @400 あ、とってもおいしそう……。 @100 から揚げはセトの大好物だったから、 母さんにお願いして作ってもらったよ。 @403 そうだったんですか。 @120 意外だわ…… シシトが女の子の好きなものを 知っているなんて……。 @102 セトのから揚げ好きは 分かりやすいからね。 @402 でもから揚げが好きな女の子って なんだか変ですね……。 @100 別に悪いことではないと思うよ。 @120 そうよ、好きなものなんて 人それぞれなんだから。 @111 だから遠慮せずにいっぱい食べなさい。 @404 はいっ! @100 それじゃあ。 !wait20 @1 \f[32]「「「「いただきます。」」」」 !mvnil !wait40 !mv自宅 !wait20 @400 ごちそうさまでした。 @403 から揚げとってもおいしかったです。 @111 あらあら、それは良かったわ。 @102 ああ、我が家の食卓で きちんとしたおかずが食べられるなんて 久しぶりだ。 @400 そうなんですか? @100 ひどい時はエアーだしね。 @401 エアー!? @120 と言ってもシシトだけだけどね。 @102 これって実は虐待なんじゃないの? @110 これは修行よ。 @111 いざって時にエアーだけでも 生きられるためのね\wh @102 ……そんな状況まず起こらないから。 @402 シシトさんも大変なんですね……。 @102 はは、もう慣れたさ。 !wait20 @100 ああ、でもセトは ちゃんとご飯食べられるだろうから 心配しなくていいよ。 @400 はあ……。 @120 それでシシト、これからどうする予定? @100 とりあえず明日はセトを連れて アクアフロートを回ってみるよ。 @102 幸い、今午前中授業だから 午後は時間あるし。 @120 (この愚弟は……こういう時は 1日くらい学校休んであげなさいよ) @102 ……姉さんどうかした? @120 自分の胸に聞きなさい。 @102 ……? @110 どうせならリョウヘイ君も誘ってみたら? @100 うん、それは僕も考えた。 @400 リョウヘイさん? @100 中学時代からの友達さ。 @111 リョウヘイ君はセトちゃんや シシトと同じ中学校だったのよ。 @400 へえー。 !wait20 @1 ピンポーン @110 あら、誰かしら。 @111 はーいはいはい。 !bgm !se(Action)ドア開け @1 ガチャ @830 ワン。 @111 ……。 !se(Action)ドア閉め @1 バタン !bgmコミカル 「ガーン!!」 「ク〜ンク〜ン。」 (ガリガリ) @111 何だったのかしら。 @102 (……犬?) (……\sあ) !mvnil @710 シシトさん、 そういえばリス君はどうしたんですか? @102 消滅しました。 @710 なるほど……そうでしたか。 では、新たに使者を 送らないといけませんね。 @100 そんなすぐに送ってこられるんですか? @710 ええ、お任せください♪ (これでエサ代が浮きますね) @102 ……なんかうれしそうですね。 @711 そ、そんなことありませんよっ! @100 ところで、その使者って言うのは また動物ですか? @710 はい、メス犬です。 @1 \f[16]「ガーン!!」 @102 (受話器の向こう側から何か聞こえる……) @710 使者は今から約1週間くらいで そちらに到着すると思います。 @100 はい、分かりました。 !mv自宅 @102 (そういえば、そんな話をしていたな) !wait20 @100 ねえねえ母さん。 @110 何? @102 外の犬、もしかしたら知り合いの犬かも。 @110 あらホント? !se(Action)ドア開け @1 ガチャ @830 ふー、助かった。 @111 しゃべったわ。 @833 ペ、ペットロボ です ウィーン シシト さん に お届け デス @110 シシトー、ペットロボですってー。 @102 たぶんそのロボ、エサ食うよ。 @111 えー。 @100 とりあえずもらっていくよ。 @830 (ふう) @100 あと、セトもちょっと 部屋まで来てもらっていいかな。 @400 あ、分かりました。 @111 あらあら、気が早いわね。 @403 えっ、それって……。 @104 いや、ちょっと話があるだけだから! @120 これが若さね。 @101 姉さんも何言ってんの!? @833 (騒がしい家族だな) @102 とにかく上がるよ。 !mvnil !wait40 !mvシシトの部屋 !bgm安らぎ !wait20 @100 はい、どうぞ、しゃべっていいよ。 @402 えっ、しゃべるって? @833 (待て、この娘はいいのか?) @102 (セトは無関係でもないからね) @830 (そうか、この者が例の娘か) ……。 ……では。 !mvnil !mvシシトの部屋 !wait20 @830 と、いうことで 我が新しいマジカルパレスの使者の……。 クロウ3世だ、よろしくな。 @402 本当に犬がしゃべるなんて……。 @403 まるでファンタジーのお話みたいですね。 @100 ふーん……クロウ、か。 @102 3世に意味はあるの? @833 名前をいちいち付けるのが 面倒だったらしい。 @102 (女神様って……) @400 でも、何で私にもこんな話を? @100 実はさ、セトが気絶したのは 魔法を使ったせいみたいなんだ。 @401 えええっ、私が魔法を!? @100 驚くのも無理はないけど、事実だよ。 セトのおかげで 冬村さんは助かったんだし。 @400 私が冬村さんを……助けた? @100 うん、冬村さんの傷をセトが治したんだ。 @402 ……なんだか信じられませんね。 @833 ちょっと待て。 その全てを忘れたかのような 話し振りは何だ? @102 気絶して目が覚めたら セトの記憶が無くなっていたんだ。 僕や、周りの人のことまで全部。 @833 なんだと? @100 やっぱりこれも魔法のせいなのかな? @830 うむ、事例が無いわけでは無いが……。 術者の能力と魔法の難易度との 差が大きいと気絶してしまう症状は 知っているな。 @100 うん、女神様に聞いた。 @830 この症状には特別な例があってな。 その差があまりにも大きい時は 気絶だけでなく 記憶を失ってしまうこともあるそうだ。 @402 じゃあそれで私の記憶が なくなっているんですね。 @833 しかし、記憶の忘却なんてその差に よほどの開きがないと起きないのだぞ。 完治程度でこの症状が 起こるなんて聞いたことがない。 それこそ、魔法のまの字も知らぬ者が 魔法を使わない限り説明できん。 @100 じゃあセトは全く魔法を知らなかったのに 魔法が使えたってこと? @830 矛盾しているがそういうことになるな。 @102 ……どういうことだ? @830 むう……。 ……ひょっとするとトーテムの力かもな。 @100 トーテム? @830 かつて、人々の中には 精霊のようなものを身に宿す者もいた。 そしてその者たちは 常人以上の力を出したり 魔法を自在に使えたりしたのだ。 その精霊こそトーテム、 そしてそれを使うものを トーテム能力者と言う。 @400 つまり、私にもそのトーテムが 宿っているってことですか? @830 トーテムが突然発現して 宿主に魔法を教えたとしたら 一応筋は通るのだがな。 @833 しかし現在の世界に トーテム能力者がいるとは到底考えられん。 @102 結局真相は謎のままか……。 @830 だが、何か理由があるのは 間違いないだろう。 この事はあとで女神様にも 報告しておくが、問題はないな。 @100 原因は早めに見つけないとね。 @402 ……一体私って何なんだろう。 @100 セトはセトだよ。 たとえ魔法が使えたって それだけは変わらないさ。 @102 だから今は自分の持っていた記憶を 取り戻す事だけ考えていればいいよ。 @400 ……。 @100 ん、どうかした? @403 ……いえ。 ただ、前にも誰かに似たような事 言われた気がして……。 @100 おっ、もしかして実際にあったことかな。 @830 どうやら、断片的にではあるが 記憶が戻ってくる兆候はありそうだな。 @100 まあ、焦らずがんばろうね。 @404 はいっ、分かりました。 私がんばりますね! @830 微弱ながら、我も出来る限り協力しよう。 セトと言ったな、 これからもよろしく頼む。 @400 こちらこそよろしくお願いします、 クロウさん。 !wait20 @1 「シシトー。」 @100 あ、母さんが呼んでる。 ちょっと行ってくるね。 !se(Action)ドア開け @1 ガチャ !se(Action)ドア閉め バタン !wait20 @400 ……。 @830 ……シシトがどうかしたか? @402 いえ、そういうわけじゃないんですけど。 私のためにここまでしてくれて 何だか悪いなーって……。 @830 だが、シシトとていやいやお前を 引き受けたわけでもあるまい。 @400 ……そうですね。 @403 シシトさんはいい人みたいですし……。 @830 うむ、今は人の厚意を 素直に受け取っておくといい。 @400 じゃあ、そうしますね。 ところでクロウさん。 @830 何だ? @403 ……なでてもいいですか? @830 我は別にかまわんぞ。 @400 じゃあ遠慮なく……。 !wait20 @403 なでなで。 @830 ……。 @403 なでなで。 @830 ……。 @833 ……。 む……くっ……。 !wait20 @832 き、気持ちいい〜\wh @402 く、クロウさん、 そんなに嬉しがらなくても……。 !se(Action)跳ね @832 もっとなでて〜\wh @401 わっ!! !se(Action)ドア開け @1 ガチャ @102 やれやれ。 @402 あ、シシトさん。 @832 く〜ん。 @104 うわっ。クロウどうしたんだ!? @833 はっ! !wait20 @831 うおー、我が醜態を晒してしまったー!! @102 セト、何があったの? @402 クロウさんをなでてあげた だけですけど……。 @102 悶えるほど気持ちよかったのか……。 @832 しくしく……。 @400 ところで何の話だったんですか? @100 セトが僕の部屋で 寝ることになったって話だよ。 @401 シシトさんと同じ部屋なんですか!? @833 仮にも同じ年頃の男女に 同じ部屋をあてがうとはどういう家族だ。 @102 ウチの家族はこんな感じです。 @402 じ、じゃあ私は どこで寝ればいいんですか? @100 セトにはベット使ってもらって 僕は床で寝るよ。 @402 え、でもそれは悪い気が……。 @100 僕は大丈夫だよ、 どこでも寝られるから。 @400 そうなんですか。 @102 この前も公園で一夜を明かしたりしてたし。 (しかも全裸で) @833 結構すごい体験をしているのだな。 @102 ふっ、こんなの序の口さ。 @400 後でその話も聞かせてもらえませんか? @100 こういうのでよければ いくらでも話すよ。 @403 じゃあ楽しみにしておきますね。 @102 (僕にとってはあまり楽しいものでも ないんだけどね……) !wait20 @100 とりあえず寝床に関しては これでいいね。 @400 はい、分かりました。 @830 安心しろセト。 もしシシトが変な気を起こしたら 我が止めてみせる。 @102 いや、僕もう倦怠期だし。 @830 男なんてどうなるか分からんものだ。 @400 クロウさんってメスなんですか? @100 うん、メス犬らしいよ。 @831 メス犬言うなー!! @400 でも、シシトさんなら 大丈夫だと思いますよ。 どういう人かは何となく分かりましたから。 @102 そんなに分かりやすいのか僕は。 @403 とってもやさしくていい人ですよ。 @102 あ、うん……ありがとう。 @830 (ほぼ初対面に近い状況だというのに ここまではっきりと言えるとは……) (……シシトは それだけ信頼されているのだな) @100 じゃあ、一回下におりようか。 @400 はーい。 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 @1 その後、僕たちは テレビを見たり談笑したりして 寝るまでの時間を過ごした。 一見するとそれは 普通の日常生活と変わらない光景。 だが、これは紛れもない非日常。 その中心にいるのは……。 僕ではなく、セトであった……。 ……。 こうして、僕たちのちょっと変わった生活の 1日目が終わりを告げる。 そして翌日……。 !wait60 !v5=0 !mv自宅 !bgm安らぎ !wait20 @400 おはようございます。 @110 おはよう、セトちゃん。 @120 起きるのがだいぶ遅かったわね。 @402 昨日は色々なことがあって 疲れちゃったみたいです。 @120 まあ無理もないか、 記憶が無くなってるんだものね。 @111 今日はシシトが学校から帰ってくるまで 家でゆっくりするといいわ。 @400 あのー。 @110 何かしら? @402 なんでシシトさんを起こさないように、 って言ったんですか? 言われたとおりに こっそり起きてきましたけど……。 @111 ふっふっふっ、今に分かるわよ。 @400 ? !wait20 !bgm @1 \f[44]「うわああああああ!!」 !bgm緊急事態 @401 ビクッ!! @111 ほら、始まった。 @120 相変わらず騒々しい寝起きね。 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き !wait3 !se(Action)学内歩き !wait3 !v27=2 !se(Action)ズシャアアー @101 遅刻3分前だー!! @401 3分前!? @103 セト! そこのカバンこっちに投げて!! @402 こ、これですか? !se(Action)ミス !wait15 !se(Action)ビシッ @103 よし、準備完了! !wait20 @101 \f[32]行ってきまああああす!! @120 いってらっしゃい。 @111 いってらっしゃい\wh @402 ……お気をつけて。 !se(Action)ドア開け @1 ガチャ !se(Action)ドア閉め @1 バタン 「うおー、根性ダアアァァッシュ!!」 ドドドドドー \f[20]ドドドドー \f[16]ドドドー \f[12]ドドー \f[8]ドー !wait40 !bgm安らぎ @402 ……。 毎日こんな感じなんですか……。 @120 シシトの2キロ3分ダッシュは 村上家の名物よ。 @402 それって普通に考えて無理なんじゃ? @111 大丈夫よー。 あの子足だけは速いから。 @120 それにしても、ここ最近では 最速のスタートダッシュだったわ。 @110 今日のシシトは絶好調ね。 @120 (セトちゃんいたから はりきってるのかしら……) @111 今度から遅刻2分前に 起こすようにしようかしら\wh @401 本当に遅刻しちゃいますよ!! @833 (聞いていたはいたが本当に悲惨だな) @400 あ、クロウさんも起きたんですね。 @830 ワン。 (人前ではしゃべることはできない) @402 (あ、はい、すいません……) @110 じゃあみんな揃ったところで ご飯にしましょう。 @120 セトちゃんも早く座りなさい。 @400 じゃあここ失礼しますね。 @110 はい、クロウちゃんもご飯よ。 @832 ゴハ〜ン\wh @120 ……しゃべったわ。 @831 ハッ!! @401 (クロウさん何やってるんですかー!?) @833 ワ、ワンッ。 (こ、ここはごまかし切らねば……) @111 ……しゃべらないとご飯ナシよ。 @832 ゴハ〜ン\wh @401 (意思弱っ!!) @120 まあ前飼ってたリスも しゃべってたみたいだし 気にすることじゃないけどね。 @400 (リスって前のマジカルパレスからの 使者だったって人のことかな……) @402 (結構うっかり屋さんが多いんですかね) @711 (クロウも減給ですね) !wait20 @110 それでは改めて。 !wait20 @1 \f[32]「「「いただきます。」」」 \f[24]「ワン。」 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 @1 時は移って放課後。 !wait60 !mv住宅地 !bgm住宅街 !wait20 @202 しっかし信じらんねーよな。 やっと目が覚めたと思ったら 記憶喪失なんて……。 @250 まるでゲームの話だな。 @102 ホントにね。 @200 しかもセトのじいさんは 出かけているから 今はシシトの家に泊まってんだってな。 @250 そうなのか。 @102 なんでリョウヘイ知ってるの? @200 今朝冬村さんに会って聞いたから。 @100 ああ、なるほど。 @202 しかし……よく泊める気になったな。 @102 他にいい方法が思いつかなかったからね。 ほっとくわけにもいかないし。 @200 ふーん。 !wait20 @100 それでさ、これからセトを連れて アクアフロートを回ろうと思うんだ。 だから、協力して欲しいんだけど……。 @200 言われるまでもねーよ。 俺にとってもセトは 中学時代からのダチだからな。 @250 俺も全くの他人というわけではない。 出来る範囲で協力しよう。 @100 ありがとう、リョウヘイ、アルバート。 @200 いいってことよ。 @250 ところで、冬村には連絡したのか? @100 うん、1時くらいに 僕の家に来るってさ。 @200 じゃあ俺もそうするぜ。 @250 俺も飯を食ってから合流しよう。 @200 また後でな、シシト。 @250 俺もここで失礼する。 @100 うん、待ってるよ。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait20 @100 僕も帰ろう。 !wait40 !mv自宅 !bgm !wait20 !se(Action)ドア開け !wait20 !se(Action)ドア閉め !wait20 !bgm安らぎ @100 ただいま。 @400 シシトさん、おかえりなさい。 @102 あ、うん。 (家帰ってきてセトがいるってのも 何か妙な気分だな) @830 シシトか、おかえり。 @100 そういえば母さんは? (姉さんは仕事だろうけど) @830 お前の母親は買い物に出かけたぞ。 @102 え、僕の昼飯はどうなるんだ? @400 その辺にあるものを 食べておいてって言ってましたよ。 @102 ……エアーか。 @402 やっぱりそうなんですね……。 @102 まあ時間も余りないし、 別に食べなくてもいいや。 @830 しかし朝飯も食べていないだろう。 それで体はもつのか? @100 昨日の夕飯を普通に摂れたから 丸一日はもつよ。 @833 むう、そうか……。 (シシトはどれほど過酷な 食生活を送っているのだ……) @400 もう出掛けるんですか? @100 うん、これからみんなで アクアフロート巡りをするよ。 @400 ふむふむ。 @100 というわけで1時にここ集合に なってるから準備しておいてね。 @404 分かりました! @100 あ、クロウは留守番ね。 @831 何ー!? @102 だって連れてくと色々面倒だし……。 @833 し、しかし我とて……。 @100 ちゃんと留守番してたら おやつを買ってきてあげるよ。 @832 おやつ〜\wh @102 ……喜びすぎだよクロウ。 (リス君もそうだったけど クロウも使者っぽいイメージなんてないな) !wait20 @100 さて、着替えて準備するか。 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 !mv住宅地 !bgmけだるい午後 !wait20 @410 こんにちは、犬山さんとシシト君。 !v27=1 @100 こんにちは、冬村さん。 @400 こんにちは。 @410 元気そうでなによりだね、犬山さん。 @403 シシトさんの家族は みんないい人でしたから。 @412 それはよかったね。 @102 おかげさまで僕も ちゃんとしたおかずのある夕飯を 食べることができたよ。 @410 そ、そうなんだ……。 @402 シシトさんの生活は 色々と大変みたいです。 @102 よくグレなかったと自分でも思うよ。 !wait20 !v28=1 @200 よう、3人とも。 @250 もう冬村も来ていたか。 @402 えーと……。 @202 あっと、覚えていないんだったな。 @200 俺の名前は岸リョウヘイ。 シシトやセトの中学からの知り合いだ。 @250 アルバート・ウェスタリスだ。 まだ何度か会っただけだが、よろしくな。 @404 はい、こちらこそよろしくお願いします! @100 じゃあみんな集まったことだし、 どこに行こうか。 @202 くぅ……この人数いたら 普通はゲーセンにでも 行きたいところなんだがな。 @412 (あ、それいいかも……) @250 ショッピング街が妥当じゃないのか。 @100 だね、前はよくショッピング街で セトを見かけたし。 @410 じゃあ最初はショッピング街だね。 (ちぇ) @200 よーし、じゃあ行くか。 @404 はいっ! !mvnil !wait40 !bgm !wait20 !mvショッピング街 !bgmショッピング街 !wait20 @100 ショッピング街に着きました。 @202 誰に向かって言ってるんだよ。 @102 読者と言う名の神様さ。 @250 なんだそれは? @100 あまり深くつっこんだらだめだよ。 @250 ふむ、そうか。 @400 賑やかな所ですね。 @410 色々なお店がいっぱいあるからね。 @100 セトも普段 食材とかを買いにここへ来ていたよ。 @402 うーん、よく思い出せません……。 @200 で、これからどうすんだ? @100 適当にその辺をぶらぶらしようか。 @202 ホントに適当だな。 @102 ひょっとしたらその中に セトの記憶回復のきっかけが あるかもしれないしね。 @404 見落とさないように しっかりと見て回りますね。 @410 それじゃ行きましょう。 !mvnil !wait40 !mvショッピング街 !bgmショッピング街 !wait20 @400 ……あ。 @100 ん、何か思い出した? @403 いえ、その…… ちょっといいなって思った物があって……。 @100 この薄青色の髪飾り? @400 はい。 @102 これすごいな、 銀使ってるからめちゃくちゃ高いや。 @402 ちょっと手が出ませんね。 @102 まあ記憶に直接関係はなさそうだから 見送ろうか。 @402 ……そうします。 @100 じゃあ次はあっちの方も見てみる? @404 はいっ! !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait20 @200 やれやれ…… さっきからシシトにべったりだな。 @410 今の犬山さんにとっては 見たこともないような場所だから 一人だと心細いんだろうね。 @200 なるほどな。 シシトはそれだけ頼られてるってことか。 !wait20 @202 それにしても、傍目から見れば まるで仲良し兄妹かカップルだなありゃ。 @412 (いいなあ……) @200 ん、どうした冬村さん? @410 あ、ううん、何でもないよ。 @202 あ、そう……。 @410 そういえばアルバートさんは? @200 あれ? いつの間にかいなくなってるな。 !wait20 @202 ん? !bgm @250 ←(『実践拉致監禁〜応用編〜』 と書かれた本を立ち読みしている) !se(Action)ページをめくる ふむふむ……。 !wait20 !bgmサブコミカル @201 アルバートォォォ!! @252 うおっ!! (ビクッ) @201 お前こんなとこで なんて本を読んでるんだ!! @412 アルバートさんって そういう趣味なんだ……。 @251 違う!! これはネコミミ女を捕まえるための 情報収集だ!! @201 だからってこんな人通りの多いトコで そんな本を堂々と立ち読みすんなよ!! @410 ネコミミ女ってあの……。 @250 む、冬村、 お前は何か知っているのか? @411 はっ!! @251 何か知っているのなら教えてくれ!! @412 え、えと、昔そういう アニメのキャラがいたなーって。 @200 ほら、やっぱアルバートの妄想の産物だろ。 @251 俺はこの目で見たんだぞ!! @202 はいはい。 @410 (ネコミミの人とシシト君が 同一人物かもなんて言えないよね……) (……\sあら?) @1 ←(『特集!シルフドラグーン完全攻略!!』 と書かれた週間ゲーム雑誌が並んでいる) @410 (……\sゴクリ) !wait20 @411 (はっ!!) @413 (だめ、だめよサユキ!) (女の子なのに シューティングが好きなんて 知られちゃいけない!) (今はまだ耐えるのよ!) @202 ……? 一体どうしたんだ冬村さんは……。 !wait20 !bgmショッピング街 @400 あ、みなさんここにいたんですね。 @200 あれ、2人とも、もういいのか? @102 ショッピング街の大通りを 反対側まで歩いてきたけど 特に収穫はなかったよ。 @402 ……ごめんなさい、 何も思い出せなくて。 @102 いやいや、謝ることじゃないって。 @200 そうだぜ。 まだ見るところはあるんだからよ、 気楽に行こうぜ。 @404 はい、ありがとうございます岸さん。 @202 岸さんか、何か妙な感じだな。 @102 リョウヘイもか、僕もそうだよ。 @200 でもいつも敬語で話してるのとかは 変わらないんだな。 @100 もともとの性格は そのままみたいだね。 @400 ……? @200 さて、もうここでは 進展もなさそうだから次に行くか。 @100 そうだね。 次はどこがいいかな? @200 近いところだと中央公園辺りじゃね? @100 じゃあそうしようか。 @200 おーい、2人とも行くぞー。 @410 あ、うん。 @250 分かった。 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 !mv中央公園 !bgm公園 !wait20 @400 ここは……。 @100 中央公園って言って、 この辺で一番大きな公園さ。 @410 私はここが好きでよく来るけど 犬山さんはあんまりなじみがないかな。 @404 むー……。 !wait20 @560 わーい。 @400 あ、女の子がいる。 @250 ……。 !wait20 ターゲットロックオン、\s追尾開始! !se(Action)ジュゴー @1 ドピューン!! @401 アルバートさん!? @202 ああ、気にするな。 アイツいつもあんな感じだから。 @402 アルバートさんって ちょっと変わってますね……。 @102 そうだね……。 (早くもアルバート=変人と認知されたか) @200 ところでシシト。 @100 何?リョウヘイ。 @202 ……どうして公園入らないんだ? @102 分かっているくせに……。 @410 私も今日は遠慮したいな。 @102 ……あれだもんね。 !wait40 !bgmバトル01 @310 オヤジンジャーブラック!とうっ! @530 オヤジンジャーイエロー!とうっ! @300 オヤジンジャーホワイト、はっ! @551 オヤジンジャーグリィィィ〜ン! @101 (ボウズさん復活してる!!) @310 本日はオヤジンジャーグリーンの 復帰記念デース! グリーン、 フィニッシュはあなたが決めなサーイ! @551 我ら、中年戦隊……。 !wait20 !bgm !se(Action)爆発音 @1 \f[44]オヤジンジャー!!! \f[24](緑の煙を大量に巻上げながら爆発) !wait20 !bgmサブコミカル @401 何なんですかあの人たちは!? @102 ウチの学校の先生と。 @202 俺の親父とゲーセン仲間だ。 @402 全員知り合いなんですね……。 @102 残念ながらね。 @200 シシトの周りは変わり者ばっかだぜ。 @400 なるほど。 @102 そこ、納得しない。 !wait20 !bgm公園 @400 ……でも。 よく分からないけど、 ちょっと安心しますね。 @102 ……それってどういうこと? @402 それがよく分からないんですよ。 @410 まあ、あんまり深く 考え込まないほうがいいね。 @200 そうだな。 !wait20 @253 くっ……。 @100 あ、アルバートお帰り。 @202 おいおい、鼻血出てるぞ。 @253 俺としたことが…… 緑の爆発に巻き込まれて 目標を見失ってしまった。 @202 ……。 @102 ……。 @202 ……次のとこ行くか。 @102 ……そうだね。 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 @1 こうして僕たちは アクアフロートの色々なところを見て回った。 セトは所々で見覚えが ありそうなそぶりを見せたが、 具体的なことは1つも思い出せなかった。 そうして日が暮れて、 僕たちは家の前まで戻ってきた。 !wait60 !v5=1 !mv住宅地 !bgm夜の静けさ !wait20 @102 ふう、収穫らしい収穫はナシか。 @402 ごめんなさい、みなさん。 @410 気にしちゃだめだよ、犬山さん。 @200 そうだぜ、昨日の今日だ。 いきなり物事が進むなんてことは そうそうないぜ。 @250 それにきっかけさえあれば 一気に思い出せる可能性もあるからな。 @402 ……そうなんですけど。 やっぱり私一人のために、 みなさんに迷惑をかけて申し訳なくて……。 @200 ……。 ……へっ。 そんなことねーよ。 @412 そうだよ。 みんな犬山さんの助けに なりたいだけなんだよ。 @100 2人の言うとおりだよ。 みんな本当にセトの力になりたいんだ。 迷惑なんかじゃないさ。 @402 みん……な……。 !wait20 @200 よーし、じゃあ俺は家に帰って 思い出すきっかけになりそうな物でも 探してみるぜ。 またな、みんな。 @100 うん、またね。 @410 さようなら。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ @402 岸さん……。 @250 ……。 @250 犬山。 @400 ! は、はい。 @250 お前は今孤独か? @402 ……えっ? @250 今のお前は記憶をなくしている。 おそらく見たこともない世界に 一人でいるような気分なのだろう。 違うか? @402 ……。 !wait20 ……そうかもしれませんね。 @250 ……ならば、1つだけ言っておこう。 !wait20 お前には仲間がいる。 それだけは忘れるな。 @400 仲間……。 @250 さっき岸たちが言っていたことと 同じことだがな。 お前にはこういう時に 力を貸してくれる者達がこんなにいるんだ。 だから決して1人ではない。 @400 ……。 @250 ……俺に言えるのはこのくらいだな。 では、俺もそろそろ 帰らせてもらうとする。 また会おう。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ @410 じゃ、私も帰るね。 @400 あ、はい。 @100 さよなら、冬村さん。 @400 おやすみなさい。 @412 犬山さん、シシト君、またね。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ @400 ……。 @100 セト? @403 ……私って恵まれてるんですね。 記憶はまだないけど、 こんなにいい友達がいるなんて……。 @100 ……そうだね。 みんながいるんだ、きっと大丈夫だよ。 @400 ……。 ……うん。 !wait20 !se(Action)学内歩き @120 あら、あなた達もちょうど帰ってたのね。 @100 あ、姉さん。 @400 お勤めご苦労様です、シイナさん。 @120 ありがとう、セトちゃん。 @100 じゃあ家に入ろうか。 @400 今日もお世話になりますね。 @120 ああ、ちょっと待ってセトちゃん。 @400 はい? @120 今はあなたの家みたいなものなんだから、 入るときは「ただいま」でいいわよ。 @402 え、でもそれはさすがに……。 @120 いいのよ、遠慮しなくても。 @100 そうだね。 母さんもきっと同じ事言うと思うよ。 @400 ……。 そうですか……。 !wait20 @403 ではお言葉に甘えさせてもらいます。 @120 じゃ、さっそく言ってみましょう。 !wait20 !se(Action)ドア開け @1 \f[32]「「「ただいま。」」」 「あら、3人ともおかえりなさい。」 !mvnil !wait40 !mvマンション街 !wait20 @250 ……。 @1 「アルバートさーん。」 @250 む、冬村か。 家に帰ったんじゃないのか。 @410 私の家もマンションだから。 @250 そうだったのか。 @410 ところで、歩きながらでいいから ちょっと聞きたいんだけど。 @250 何だ? @410 ……さっき帰る前に言った最後の言葉。 @250 ああ、あれがどうかしたか。 @410 ちょっと気になってね。 なんだか実感みたいなものが こもってたから……。 @250 ……。 !wait20 ……同じだからな。 @410 同じ? @250 俺も犬山も、 日本人でない親を持つ身だからな。 たとえずっと日本で生活していても、 少なからず周りからは浮いて見えてしまう。 そういう者だけが感じる孤独感、 とでも言うものか。 @410 ……。 @250 今の状況は確かに全く違うかもしれない。 だが、本質的なところでは 同じことなんだ。 仲間がいるという実感……。 それが大いに助けになる。 だから、言っておいてやりたかった。 ……それだけだ。 @410 ……なるほどね。 @250 おっと、俺の部屋はこっちだ。 じゃあな、冬村。 @410 うん、さようなら、アルバートさん。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ @410 ……。 ……孤独、\s一人ぼっち、\sか……。 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 @1 「……。」 「……気のせいかな。」 「今の犬山さんって……。」 「まるで姉さんが死んだ時の 私を見ているようだったな……。」 !wait80 @0 The girl lost her memory,           but she didn't lose her friends. This story continues.