#Silhouette Extra Tale 第2章「思い出の地」 !v27=1 !v28=1 !v35=1 !v36=1 ……私には妹がいた。 妹は真面目で優しい心の持ち主だった。 私が勉強を怠けると、 妹はいつでも私に説教をし始めた。 それ以外でも、 私は妹から事あるごとに注意を受けた。 ……まるで子をしかる母のようであった。 でも、もう会うことはできない……。 それは私が……。 !wait40 \f[32]Silhouette Extra Tale 第2章 思い出の地 -Memories- !se(System)キー3 !wait80 !v5=1 !mvシシトの部屋 !bgmゆったり雰囲気 !wait20 @1 ガサゴソガサゴソ !wait20 @202 ふうっ、これでざっと半分くらいか。 でも部屋の中は 物置から出した物で大分埋まってきたな。 ……。 @200 ……しっかし。 思い出すきっかけになる物を 探すとか言った手前、 こうして物置を探しているわけだが。 いざ漁ってみると 古いモンがいっぱいあんなー。 教科書とか、どうでもいいものは 大体捨てたはずなんだけどな。 ……。 ま、これだけあるんだ。 1つくらいならいい物があるだろう。 !wait20 !se(Action)ドア開け @530 おうリョウヘイ。 @200 ん、親父か。 @530 こんな時間に 部屋でゴソゴソと物音立てて 何やってるかと思ったら……。 なんで物置の中身引っ張り出してんだ? @200 なーに、ちょっとしたことさ。 @530 さては……\s家出の支度か。 @202 ちげーよ。 中学時代の思い出の品を探してんだよ。 @530 何でまたそんな物探してんだ? @200 ダチが記憶喪失になっちまってな……。 何か思い出すきっかけになる物でも ないかと思って、こうして見てるんだよ。 @530 ……へっ、ダチのためか。 お前も粋なことやってんじゃねーか。 @200 俺だって何か手伝ってやんねーとな。 ……あの時と同じさ。 @530 ……。 ……なるほどな。 @202 しかし、一体どれが いつの何だったかさっぱりだ……。 小学校や中学校の物が 全部ごちゃ混ぜになってやがる。 物置の中が混沌としてるぜ。 @530 整理整頓とか細かいことが 苦手なのは俺にソックリだな。 @202 ……違いねえ。 @530 どーれ、俺も一丁手伝ってやるか。 @202 別にいいって、これくらい。 大体親父の物じゃないんだから 分かるわけないだろ。 @530 荷物の移動くらいだったら 俺にだってできるさ。 それに、こんなに散らかしちゃ 見つかるものも見つかんねーぞ。 @200 それもそうだな……。 @530 だから少しくらい手伝わせろよ。 友達のためなんだろ? @200 ……。 !wait20 ……ありがとな、親父。 @530 へっ、そういう言葉は ちゃんと物を見つけてから言え。 @202 へいへい……。 @200 じゃあ、その辺の荷物を 一箇所にまとめてくれ。 @530 おう、任せておけ。 !wait20 ん、\sなんだこいつは? @200 何かあったのか? !wait20 !bgm !se(Action)ページをめくる @1 だいすきなおとうさん  1ねん1くみ きしりょうへい !wait20 !bgm緊急事態 @201 \f[44]のおおおおお!! @530 こいつはリョウヘイが 小学校の時に書いた作文だな。 どれどれ……。 @201 親父!!\s読むな!! \sそんなモン読むんじゃねー!! @530 いいじゃねーかよ、減るもんじゃねーし。 !se(Action)跳ね @201 そんな恥ずかしいものは抹殺するー!! @530 うおっ、リョウヘイ、危ねーだろ! !se(Action)ビシッ @201 親父、それをよこせー!! @530 こらっ、そんなに引っ張んな!! @201 \f[32]うおおおおおおおお!! !wait20 !bgm @1 \f[44]ビリッ @202 あっ。 @530 あっ。 !wait20 !se(Shooting)撃破B @1 \f[44]ドゴーン!!! \f[24]←(荷物の山に直撃) !wait20 !bgmサブコミカル @201 \f[32]いっでええええええ!! @530 ほら見ろ、言わんこっちゃねー。 @201 ぎゃー!血が出てるー!! @530 男ならピーピー言うな。 今クスリ持ってきてやっから おとなしくまってろ。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait20 @202 ちっくしょー……。 元は誰がそれを見つけたせいだと 思ってやがんだ。 手伝うとか言いながら 余計なことしやがって……。 !wait20 @200 今のうちに 見つからない所に隠しておくか。 @1 ゴソゴソ !wait20 !bgm !se(Action)ページをめくる パラッ @200 ん……。 今何か落ちたような……。 @1 ……。 @200 これは……、\sプリクラ? 何でこんなところに……。 !wait20 @202 ……っ! これに写ってるのって……。 俺、\sシシト、\s……セト? ……。 !wait20 @200 ……そうだ。 こいつは中学2年の春休みに、 シシトが転校する前に 3人で撮ったやつだっけ。 確か何か記念に残そうとか言って、 俺が無理やり2人を ゲーセンに引っ張ってったんだよな。 懐かしいよなー。 ……。 !wait20 @202 ……なんだ。 あったじゃねーか……。 思い出の品を探すよりも、 もっと単純な方法が。 !mvnil !wait60 !mvシシトの部屋 !bgm安らぎ !wait20 @1 カリカリ !wait20 パタンッ @100 ふうっ、これで宿題は終了っと。 @830 だいぶ時間がかかったな。 @102 今は午前中授業が続いてるからね。 学校側はその分宿題の量を増やして 遅れを補おうとしているんだよ。 @830 なるほどな。 @102 セトはいいよなー。 病気で休学扱いになってるから 宿題とかもなくて……。 @830 しかしいざ記憶が戻って 再び通うことになったら大変ではないのか? @100 いや、セトに限ってはそれはないと思う。 @830 ほう、かなりの才女なのか。 @102 飛び級で高校2年になったくらいだしね。 @833 それはすごいな……。 !wait20 @1 ブルルルル……ブルルルル…… @100 あれ、リョウヘイから電話だ。 この時間になんだろう。 !wait20 !se(System)ピッ !wait20 もしもし。 @1 「おう、シシトか。」 @100 こんな時間にどうしたの? @1 「セトに記憶を思い出させる いい方法があったぜ。」 @102 方法? 物を探してたんじゃないの? @1 「探してる時に思いついたんだ。」 「シシト、七影中学の事覚えてるか?」 @100 ……。 ……忘れるわけないよ。 4年前にあんなことがあったんだから。 @1 「まあ当然か……。」 @100 それで、それがどうかしたの? @1 「じゃあプリクラを撮ったのは覚えているか?」 @102 プリクラ? ……。 !wait20 ……ああ。 確か最後にみんなで撮ったやつだっけ。 @1 「そう、お前が引っ越す前に撮ったやつだ。」 @100 そういえばそれを撮った時の メンバーって……。 @1 「ああ、俺とお前とセトの3人だ。」 「シシトもどっかに しまってあるんじゃねーの?」 @102 そういう思い出の品は 洪水の時に家と共に流されてしまったよ。 @1 「洪水で家が流されただぁ!?」 @102 うん、アクアフロートに 引っ越してくるちょっと前にね。 @1 「……お前ってやっぱ とんでもない人生送ってたんだな。」 @102 もう過去の話さ……。 !wait20 @100 で、そのプリクラを見せれば 何か思い出すんじゃないのかって事? @1 「まあ、それも無くは無いな。」 @102 てか思ったんだけどさ。 実際に思い出の物とか探すならさ、 直接セトの家探すべきだと思うんだよね。 @1 「……確かにそうだな。」 「でも、重要なのは このプリクラ自体じゃないぜ。」 @100 というと? @1 「その時、俺たちは 確かにあの場所にいたってことだ。」 @102 ……。 リョウヘイ…… 君にそういうセリフは似合わないよ。 @1 「ほっとけ。」 「とにかく、 そこである方法を思いついたんだ。」 @100 何を? @1 「今度の休み、 俺たち3人だけで七影中学に行かないか?」 @102 中学校に? @1 「あの時のメンバーで 中学校を見て回るんだ。」 「きっと何か思い出せるに違いないぜ。」 @100 ……なるほど。 @1 「だから、行こうぜ。」 「俺たちの初めて出会った、あの場所に。」 @100 ……。 !wait20 ……分かった。 @102 セトは今入浴中だから、 後で僕から言っておくよ。 @1 「よーし、決まりだな。」 @100 で、日時はどうする? @1 「じゃあ今度の土曜日の朝9時、 第4区駅に集合でいいか?」 @100 分かった、都合が悪い時は こっちからかけ直すよ。 @1 「ああ、そうしてくれ。」 「んじゃ、俺は散らかした 部屋の片付けしなきゃいけねーから。」 @102 おつかれさま。 @1 「またな。」 !se(System)ピッ ピッ !wait20 @100 七影中学か……。 @830 どういう電話だったのだ? @102 今度の土曜日に中学トリオで 母校見学に行こうって話さ。 @830 なるほど、それは いいきっかけになりそうだな。 @100 うん、僕もそう思う……。 @830 しかし、シシトはあまり乗り気では 無いように見えるが……。 @102 進んで母校を見学したいなんてOBは 中々いないものさ。 それに…… あそこはいい思い出ばかりでもないしね。 @830 そうか……。 @100 でも、セトが何か思い出す きっかけになるなら行くさ。 @830 では我は留守番だな。 それは3人で行ってこそ 意味があるというものだろう。 @100 ありがとう、クロウ。 !se(Action)ドア開け @1 ガチャ @400 シシトさーん、お風呂空きましたよー。 @100 ああセト、ちょうど良かった。 @400 はい? @100 今度の土曜日のことなんだけど……。 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 @1 七影中学校……。 この中学校で、僕は中学1年の最初から 2年の終わりまでを過ごした。 何でこんな半端な期間だったかと言うと……。 それは僕の家が災害に見舞われて 引越しを余儀なくされたからだ。 どういうわけか、 僕の家はいつも何らかの被害に遭い、 その度に引越しを繰り返している。 特に、アクアフロートに移ってくる 原因となった洪水の時はひどかったな……。 ……。 !wait20 ……そんな波乱に満ちた 小学校、中学校時代だったためか。 僕は当時の思い出の品というものを ほとんど持っていない。 また同時に、数多くの学校を回っていたため、 思い出自体もかなりあやふやであった。 ……。 ……しかしその中において。 七影中学校だけは特別だった……。 !wait60 !mv第4区駅 !bgmStation !wait20 @200 お、来たな2人とも。 @100 おはよう、リョウヘイ。 @400 岸さん、おはようございます。 @200 おはようさん。 @102 てかさ、何で駅集合なんだ? 家近いんだし、 3人で集まってから来た方が よかったんじゃないの? @200 それだと駅までだらだら歩いて 余計な時間を食うだろ。 だから駅集合にしたんだよ。 @400 なるほど。 @200 ほらよ、お前らの分の切符も買っといたぜ。 !se(Event)アイテム入手A @100 お、サンキュー。 @404 ありがとうございます! @200 じゃあとっとと乗るぞー。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ @400 岸さん張り切ってますね。 @100 久しぶりに中学時代に 住んでた場所に行くからね。 言い出したのも自分だし、 一番ワクワクしてるんじゃない? @402 そういうシシトさんは あまり楽しそうじゃないですね……。 @102 ふっ、あそこは僕の黒歴史の溜まり場さ。 @400 ……でも。 私の思い出も、 きっとそこにあるんですよね。 @100 うん、間違いなくね。 @400 ……。 @100 ……セト? @404 ……今度こそ、 何かを思い出しますね! @102 まあまあ。 着く前からそんなに力んでちゃ 後がもたないよ。 @403 あ……すみません。 !wait20 @1 「おーい、早く来いよー。」 @100 リョウヘイ呼んでるし、早く行こうか。 @404 はいっ! !mvnil !wait40 !v5=0 !mv海岸公園 !wait20 @1 (海上モノレールで移動中) !wait20 @400 あのー、岸さん。 @200 ん、どうしたセト? @400 その、中学の時に撮ったっていう プリクラってあります? @200 ああ、それのことな。 ちょっと待ってろ。 @1 ゴソゴソ !wait20 @200 ほら、これだ。 !se(Action)ページをめくる @1 パラッ @100 ……間違いない、あの時のだ。 @400 私も写ってる……。 @102 しかし、こうして見ると 本当に僕たち変わってないな。 @400 でも、岸さんの髪の毛は 茶髪じゃなくて黒っぽい色ですね。 @200 中学時代は規則が厳しくて 染めたりできなかったからな。 @100 当時のリョウヘイは 今以上にぱっとしてなかったよね。 @202 そういうこと言うなよ……。 そもそもそれは シシトが目立ち過ぎてたせいだろ。 @102 う……。 @400 シシトさんって 昔からすごかったんですか? @102 いや、今とあんまり変わらない 生活だったと思うよ。 @200 でも今と違って 1人だけおかしかったからな。 シシトはいやでも目立ってたぜ。 @102 アクアフロートに移ってきて良かったよ。 周りが変だから あまり目立たなくて……。 @202 大丈夫だ、シシトもその分 輪をかけておかしくなってるから。 @102 何が大丈夫なんだよ。 @402 輪をかけて……ですか。 @200 いきなり全裸になったり。 @401 えー!? @101 違う、それは不可抗力だ!! @200 諦めろシシト。 お前はきっと神に選ばれた人間なんだ。 @402 (ある意味的を射ていますね……) @102 ←(マジカルパレスの女神に選ばれた人間) @200 まあいいじゃねーか。 そのおかげで、 ある意味シシトは人気者だぜ。 @102 ある意味……ねえ……。 @200 その証拠に、今も昔も クラスにすぐ溶け込んでたしな。 @100 そういえば確かにそうだったね。 @400 へえー。 @200 あれは普通にすげー事だと思うぜ。 @102 でも素直には喜べないな。 @1 一般的な中学校や小学校と言うのは、 基本的にはその地方に住む子供が通う所だ。 そのため、 学校の中でも昔からの顔なじみ同士で 固まっていることが多い。 転校生のように、 外から移ってくる生徒にとっては 肩身の狭いものだった。 ……しかし、僕の場合は違った。 どこに転校しても、 僕にはいつもすぐに友達ができた。 これは、昔から転校を 繰り返していたために自然と身についた ある種の技術みたいなものなのだろうか……。 ……。 ……まあ。 単に僕自身が目立つ存在だったから なのかもしれないけど……。 ……とにかく、僕は昔から 人をひきつける何かを持っているらしかった。 そしてそれは 七影中学校でも例外ではなかった。 @100 ……。 ……ところでさ、リョウヘイ。 @200 ん、なんだ? @100 ……。 !wait20 ……学校に行く前にさ。 「あそこ」に寄って行きたいんだけど……。 @400 ……? @200 ……。 !wait20 ……ああ。 そういえば、あそこに行く機会なんて ほとんどなかったしな。 @102 で、どうかな? @200 俺は別に構わねーよ。 時間も十分あるしな。 それに、俺だって無関係じゃないし。 @100 ありがとう、リョウヘイ。 @400 あのー、何の話ですか? @100 ごめんセト、向こうに着いたら ちょっと寄り道させてもらうよ。 @400 寄り道ですか……。 @100 ……うん。 !mvnil !bgm @1 「僕たちの昔の友達に会いにね……。」 !wait60 ……七影中学校に入って間もなく。 僕にはすぐに2人の友達ができた。 そのうち1人が岸リョウヘイ。 彼とはどういう縁か、 今も同じ学校に通っている。 そしてもう1人は……。 !wait20 ……笹原サエ。 彼女は……\sもうこの世にはいない……。 !wait60 !mv七影霊園 !bgm別れ !wait20 @100 ……。 @200 ……もう4年か、早いもんだな。 @100 そうだね……。 @202 でも、どうせ来るんだったら ちゃんと供え物とかも 持って来るべきだったぜ。 @102 まあしょうがないよ、 急だったんだし。 @402 ……。 !wait20 ……あの。 その友達っていうのは……。 @100 うん、4年前に亡くなったんだ。 @402 そうだったんですか……。 @1 それは僕が中学1年時の2013年。 夏休み真っ只中の8月14日の事。 僕はサエちゃんのパパさんの誘いで サエちゃんを含めた3人で食事に向かっていた。 その途中……。 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 !bgmゆったり雰囲気 !wait20 @1 \c[4]「ありがとう、サエちゃん。」 \c[4]「こんな食事にありつけるなんて……。」 \c[4]「まるで夢のようだよ。」 \c[2]「……シシト君。」 \c[2]「今から行くのは普通のレストランだよ?」 \c[2]「ちょっとオーバーすぎるんじゃない?」 \c[4]「僕の普段の食生活からすれば 天と地ほどの差だよ。」 \c[2]「……そうなんだ。」 \c[2]「まあ、それなら私よりも お父さんに感謝してよね。」 \c[2]「お金出してくれるのはお父さんなんだから。」 \c[4]「サエちゃんのパパさん、 本当にありがとうございます!!」 \c[3]「はっはっはっ、お礼なんていらないよ。」 \c[3]「ウチのサエと仲良くしてもらってるんだ。」 \c[3]「これくらいの事は当然だよ。」 \c[4]「いや、仲良くと言っても、 たまに一緒に遊んだりしている だけなんですけど……。」 \c[2]「別にいいんじゃない?」 \c[2]「せっかくご馳走にありつけるんだし。」 \c[4]「うん、違いない……。」 \c[3]「そうだよ、何も遠慮することはないさ。」 \c[4]「しっかし、リョウヘイも不運だなー。」 \c[4]「こんな日に限って お父さんの手伝いだなんて……。」 \c[4]「リョウヘイも来ていたら 食事に連れてってもらえる所だったのに。」 \c[2]「もうシシト君っ!」 \c[2]「お金出してくれるのはお父さんなんだから そういうことは言わない!」 \c[4]「あ、すみません、サエちゃんのパパさん……。」 \c[3]「いやいや。」 \c[3]「シシト君は友達思いのいい子じゃないか。」 \c[3]「じゃあ今度はその子も誘って また食事に行こうか?」 \c[4]「またいいんですか!?」 \c[4]「ありがとうございます!!」 \c[2]「もう、シシト君ったら すぐ調子に乗るんだから……。」 \c[4]「う……。」 \c[2](まあ、そこがいい所なのかもね……) \c[4]「ん、サエちゃんどうかした?」 \c[2]「な、なんでもないよ!」 \c[4]「……?」 !wait40 !bgm !se(Action)学内歩き スタスタ \c[3]「……ん?」 \c[5]「笹原警視……。」 \c[3]「む、お前か、どうしたんだこんな所で。」 \c[4](すっごい人相悪い人だな……) \c[2]「この人お父さんの知り合い?」 \c[3]「ああ、あの人は私の……。」 !se(Action)カチャッ カチャ \c[4]「!?」 \c[2]「え?」 \c[3]「……っ!」 !wait30 !se(Action)銃声 !wait20 !se(Action)銃声 !wait20 !se(Action)銃声 !wait60 ……突然の出来事だった。 僕たちは、 いきなり現れた男によって銃撃された。 サエちゃんとコウイチさんは 頭を撃たれてその場で即死。 僕は胸を撃たれて重体となった。 俗に言う、0814フォックス事件である。 ……。 ……しかし。 今もまだ、僕はこうして生きている。 サエちゃんの心臓をもらって……。 !wait60 !mv七影霊園 !bgm別れ !wait20 @100 ……あの事件直後は ひどく落ち込んでいたな。 @202 ホントにな……。 もしあのままだったら、 登校拒否にでもなりそうな勢いだったぜ。 @100 ……でも、リョウヘイのおかげで 立ち直れたんだよね。 @200 ダチが大変な目にあってんのを 黙って見ていられるかっての。 お前だってそうだろ? @100 ……かもね。 @1 事件後、心臓移植を終えた僕は無事退院した。 しかし家に帰ってからも、 僕は自分の部屋から出ようとは思わなかった。 何もやる気になれなかったから……。 ……。 そうして……何日か経って……。 夏休みも終わりに近づいていたある日。 突然リョウヘイが僕の家に押しかけてきた。 その時、僕は入院中はおろか、 家に帰ってからも誰とも会っていなかった。 ……。 ……でも。 リョウヘイならいいか、と思ったのだろう。 僕はリョウヘイと会う事にした。 そして僕は、 \sリョウヘイにおもいっきり殴られた。 !mvnil \c[4]「な、何するんだよリョウヘイ。」 \c[1]「……いつまでそうしてるつもりなんだよ。」 \c[4]「だって……僕はサエちゃんを 庇って撃たれたのに。」 \c[4]「そのサエちゃんは死んでしまった……。」 \c[4]「僕は……無力だった。」 \c[1]「だったら強くなれよ!!」 \c[1]「今までどんなことにも へこたれなかったお前はどうしたんだ!!」 \c[4]「でも……もう……。」 \c[1]「サエちゃんが今のお前を見たら どう思うか考えてみたか!!」 \c[4]「……っ!」 \c[1]「……。」 !wait20 \c[1]「……だからさ。」 \c[1]「……生きろよ。」 \c[1]「サエちゃんの分まで……。」 \c[4]「……。」 !wait40 !mv七影霊園 !wait20 @100 ……リョウヘイには感謝しているよ。 @200 へっ、そりゃどうも。 @1 リョウヘイの励ましによって、 僕は何とかやる気を出すことができた。 しばらく経ち、 僕は以前と変わらぬ生活を送ることができた。 そしていつからだったろうか。 僕は人を守る仕事がしたいと思うようになった。 もうあんな事を繰り返したくない……。 ……そう思ったからだろう。 ……。 ……しかし。 @100 (……無力……か……) @1 心のどこかでは…… やはりまだ吹っ切れていないようだ。 それは今もまだ渦巻いている やりきれない思い。 真犯人のリュウゾウが死に、 フォックス事件が解決を迎えた今でも 決して消えてはいない。 七影中学に行くことをためらったのも、 そんな思いからなのだろう。 ……。 ……でも。 @402 ……。 シシトさん……、岸さん……。 @102 あ、ごめんセト、待たせたね。 @200 道草を食って悪かったな。 @404 い、いえ、 そんなことはありません! @402 ……2人にとっては 大事なお友達だったんですよね。 @100 うん……そうだね。 @200 ま、これで寄り道はおしまいだ。 @100 次は本格的なセトの思い出探しだね。 @200 じゃ、行くか。 @400 はーい。 !bgm !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait40 @100 ……。 !se(Action)学内歩き !wait5 !se @1 僕はもう1度だけ笹原家の墓を振り返った。 @100 (……さようなら、サエちゃん) (そのうちまた来るよ……) !se(Action)学内歩き @1 そして僕は歩き出した。 !mvnil !wait60 @1 ……。 ……そうだ。 これは、昔の思い出。 僕らがこれから探しに行くのは……。 それから少し経った後……。 僕やリョウヘイが2年生になってからの思い出。 サエちゃんに代わるようにして 僕の前に現れた。 1人の女の子の思い出を探しに……。 !wait60 !mvゲームセンター !bgmゲームセンター !wait20 @102 で、なんでゲーセンにいるのさ。 中学校に行くんじゃなかったの? @200 ある事を試してみたくてな。 @100 ある事? @200 再現だよ、\s再現。 @400 再現? @200 ここでもう一度、 あの時の3人でプリクラを撮ってみるんだ。 ひょっとしたら、 それで何か思い出すかも知れないだろ? @102 ちょっと無理があるんじゃない? @400 まあいいじゃないですか。 せっかくだし撮ってみましょうよ。 @200 ほら、セトも乗り気みたいだし、撮ろうぜ。 @102 はいはい。 !mvnil !wait40 @1 「立ち位置はこれで合ってますか?」 「ああ、それでいいぜ。」 「じゃあ押すよー。」 !wait40 !bgm ブーン…… !wait20 !bgm緊急事態 @201 うおっ、シシト、蜂がいるぞ!! @102 え? @1 ブーン…… @104 うわっ、でかっ!! @401 キャー!! @202 こらっ、2人とも暴れるなよ!! !se(System)決定 @1 ポチッ @101 やばっ、スイッチ押しちゃった!! @401 えー!? !se(Action)殴打 @1 \f[32]ドゴッ @201 \f[32]いっでええええええ!! \f[24]←(セトに押されて後頭部強打) @401 岸さんごめんなさーい!! @201 (何だこれ、あの夜の再現!?) @104 とりあえず蜂を何とかしてくれ!! @1 ブスッ @105 \f[32]ぎゃあああああああ!! @401 シシトさんが刺されたー!! !bgm !se(System)キー3 @1 カチッ !se(System)ピロロロリン 『撮影は終了しました。』 『しばらくお待ちください。』 !wait40 ジー ←(印刷音) @105 @401 @201 !mvゲームセンター !bgmコミカル @102 ……。 @402 ……。 @202 ……。 ……みんなひどい顔だな。 @402 昔のものと似ても似つかないですね。 @102 どうする?もう一回撮るの? @202 いや、もういいや……。 @402 ……そうですね。 @102 はぁ……、僕は刺され損か。 @402 シシトさん大丈夫ですか? @100 大丈夫、トラックに 轢かれた時よりもダメージは軽いから。 @401 基準が変ですよ!! !wait20 @200 まあでも、 ここに来たっていう記念にはなったな。 @102 でもこの顔はいくらなんでもなあ……。 @200 こういう変な物の方が 思い出として印象深いもんだぜ。 @102 ……過去を探しに来て 未来への汚点を残すハメになった。 @200 うまい、座布団1枚。 @102 いりません。 @200 じゃあ昼飯1回シシトのオゴリな。 @104 なんでだよ!? @200 座布団受け取りのキャンセル代。 @102 理不尽すぎる……。 @200 じゃあ受け取れよ。 @102 座布団ないじゃん。 @200 バカには見えない座布団。 @102 ……僕はバカ確定か。 @202 そこで話をしぼめるなよ。 @101 じゃあどうしろっていうんだ!! @200 だからよー……。 @1 ←(くだらない会話の応酬中) !wait40 !bgmゲームセンター @400 ……。 いいなー……。 @200 ん? @100 セト、どうかした? @403 い、いえ……。 2人とも楽しそうだなーって。 @102 ……あ。 @202 つい昔のノリで話してたみたいだな。 @102 ははは……そうだね。 @200 懐かしい場所に来たから 気分もちょっと浮かれてたのかもな。 @400 懐かしい場所か……。 @100 でも、この場所には セトも確かにいたんだよ。 @200 そうだぜ。 このメンツが揃ってたのは 1年足らずの短い間だったけどな。 @400 ……私も早く思い出して楽しみたいな。 @100 ……。 @404 ……がんばりますね。 @200 ああ、がんばろうぜ。 !wait20 @1 グー @202 あ、わりぃ。 @402 岸さんのお腹の音ですか……。 @202 朝から何も食ってなかったからな。 @102 僕も今朝はエアーだったよ……。 @402 そういえばシシトさんは 何も食べてませんでしたね……。 @202 なんでセトが朝飯食えて シシトが食えてねーんだよ。 @102 それが我が家です。 @402 2人とも今までよく 体力が持ちましたね……。 @202 ……実は結構ヤバイ。 @102 僕の場合は慣れてるからね。 @200 ってわけで、そろそろ飯にしねーか? @100 別にいいよ、ちょうど昼飯時だし。 @400 私も問題無いです。 @100 で、どこに行くの? @200 俺に任せてくれ。 いい店に連れてってやるぜ。 @102 さすがは料理屋の息子。 ライバル店はチェック済みか。 @202 別にライバル店とかじゃねーよ。 普通に友達から おいしいって聞いただけだぜ。 @100 まあリョウヘイの情報なら 間違いはないだろうね。 @200 ってわけで、行くか。 @100 うん。 @400 はーい。 !bgm !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait40 「……。」 !wait40 !bgmちょっとマズい @411 び……\sビックリした〜。 まさかあの3人もここに来るなんて……。 !wait20 @410 誰も知り合いがいないと踏んで わざわざ昔よく来てたゲーセンに来たのに。 あやうく正体がバレる所だったよ……。 (まあ、シシト君は知ってるんだけど) @1 「……。」 !wait20 @410 ……。 ……もう大丈夫かな。 !wait20 @412 さーて、みんな行ったみたいだし。 もう一回いってみよう♪ @1 ガチャガチャ !mvnil !wait40 !bgm !wait20 @1 そして、昼飯をすませた後……。 !wait40 !mv薙島高校 !bgm高校 !wait20 @1 僕たちは再びこの場所に足を踏み入れた。 !wait20 @200 うおー、めっちゃ懐かしいなー。 相変わらずのボロ校舎だぜ。 @100 建物とかも昔のままだね。 @400 ここがシシトさんや岸さん、 それに私が通っていた中学校なんですね。 @200 ああ、区立七影中学校。 俺たちの母校だ。 @102 でもさ、これ勝手に入って大丈夫なの? @200 それは大丈夫だぜ。 事前に教頭に連絡とってあっから。 @400 教頭先生? @200 当時の体育の先生さ。 @102 あの先生いつの間にか 教頭になってたのか。 @202 すでにかなりの歳だったからな。 @400 でもよく連絡とかとれましたね。 @200 先生は俺の店によく来る 常連さんだったんだぜ。 だから俺も先生のことはよく知ってたんだ。 @400 へえー。 !wait20 !se(Action)学内歩き @320 む、岸、岸リョウヘイか。 \f[20]※(薙島高校の副校長とは別人です) @100 お、噂をすれば。 @200 久しぶりっす先生。 @320 ふん、いっちょまえに髪なんぞ染めおって。 @202 別にいいじゃないっすか。 もう高校生なんだし。 @100 先生、お元気そうで何よりです。 @320 そういうお前は 七影中の暴走列車こと村上シシトか。 久しぶりだな。 @102 その恥ずかしい呼び名はよしてくださいよ。 @320 その間の抜けた態度も懐かしいものだな。 !wait20 ……ん? @402 あ……どうも……。 @320 ……犬山セトか。 話は岸から聞いているぞ。 色々と大変なことになっているそうだな。 @402 はあ……まあ……。 @320 まあ、今日は幸いにも 校内で活動している生徒はいない。 責任は私が持つから ゆっくりと見学して来い。 @404 は、はい! @200 サンキュー、先生。 @100 ありがとうございます。 @320 では私は職員室に戻っているからな。 何かあったら遠慮なく来てくれ。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait20 @400 ……いい先生ですね。 @102 でも昔は竹刀片手に ビシバシ生活指導をしていた人だよ。 @202 シシトはよく問題起こして 叩かれてたよな……。 @102 この痛みもいずれ快感に……。 @401 なりませんよ!! @200 でも、困ってる生徒には 協力を惜しまない人だったからな。 生徒からは結構人気があったぜ。 @100 ちゃんと生徒1人1人の事を 見ている人だったよ。 @400 そういえば2人の事も よく覚えているみたいでしたね。 @100 リョウヘイはお父さんが 先生と知り合いだったからね。 @200 そういうお前は先生どころか 学校中で有名だったじゃねーか。 @102 あまり好ましくない意味でね……。 @400 私の事も覚えていたんでしょうか。 @100 セトだって結構有名だったから 覚えていたと思うよ。 @400 え? @200 だよな、シシトと違って いい意味で有名だったぜ。 @102 前半は余計だよ、リョウヘイ。 @402 それってどういう……。 @100 セトは昔からすごく勉強ができたんだよ。 @200 ああ、校内1位とかも何度もとってたぜ。 @402 私が……ですか。 @100 1個上の僕らの学年でも 知られてたことだしね。 @400 え、でも私は2人と同じ学年だって……。 @102 そういえばまだ言ってなかったっけ。 @200 セトは飛び級して高校入学時は 2年生からだったんだぜ。 @401 ええー!? @102 でもよくよく考えると納得できる事だよね。 @200 それだけ中学時代から すごかったってことさ。 @402 私の過去もすごかったんですね……。 @102 今も十分すごいと思うよ。 @402 はあ……。 @200 じゃあさっそく中入ってみようぜ。 !mvnil !wait40 !mv1F廊下 !wait20 @400 不思議……何だか懐かしい。 @200 お、さっそく効果アリか。 @100 中学の方が高校よりも 生活していた時間は長いからね。 @200 で、何か分かりそうか? @400 ……。 !wait20 @402 うーん……。 これ以上はよく分かりません。 @200 まあ、歩いていれば そのうち何か見つかるさ。 @102 と言っても、昔のものとか 残っていればいいんだけど……。 !wait20 @200 おっ、懐かしいもの発見。 @1 ←(目の前の地面が磨り減っている) @400 ……。 ……これは? !bgm @200 シシトロード。 !bgmコミカル @401 シシトロード!? @200 シシトがいつもギリギリで学校に来る時に、 そのあまりのダッシュの速さで 床が磨り減ってできた道だ。 @401 いくら速くても 普通はこうなりませんよ!! @200 そこがシシトだぜ。 @102 てか床がこんなになってるのに 修理すらしないのかここの中学校は……。 @202 シシトが引越した後、 みんなで必死の署名活動をして 修理をやめさせたんだぜ。 @104 何でそんなことするんだよ!! @200 学校の重要文化財を 失うわけにはいかないだろ。 @401 重要文化財!? @200 こんなおいしい話のネタを 失うわけにはいかねーじゃん。 シシトは七影中学の生ける伝説だぜ。 @102 ああ……こうして僕の不名誉な伝説は 後世まで伝わっていくのか……。 @200 ……そういえば。 シシトって昔から足速かったけど、 中学在学中もどんどん 速くなってったんだよな。 @400 へえー。 @202 そして今じゃ2キロを3分で走れるし……。 @102 僕自身にはあんまり速くなった 実感はなかった気がするんだけど……。 @202 お前が速さに慣れすぎて 感覚がマヒしてんだよ。 @105 ガーン!! !wait20 @200 他にもシシトの足跡なら色々あるぜ。 見てみるか? @404 はい、是非! @102 (やっぱ来なきゃよかったかも) !mvnil !wait40 !mvトイレ !wait20 @200 これがシシト専用トイレだ。 @1 ←(個室トイレのドアに油性マジックで 『シシト専用』と書かれている) @402 ……でもここ女子トイレですよ。 \f[20]※(背景はイメージです) @102 間違えて何度か入りました。 @401 なんで間違えるんですか!? @100 急いでて。 @401 それだけ!? @102 そしたら誰かがフザケ半分で ドアにこんなの書いたんだよ。 @202 それ以来女子は ここのトイレを使わねーんだよな。 @100 その代わり僕がちゃんと 定期的に使っていたから問題ないさ。 @401 問題ありまくりですよ!! !mvnil !wait40 !mv本屋 !wait20 @400 ここは図書室ですね。 @200 ほらセト、ここの図書室の年表見てみろよ。 @400 えーと……。 ……。 !wait20 @402 何ですか?この『ドミノ事件』って……。 @102 僕が貸し出し期限切れ寸前の本を 急いで返しに来た時のことさ。 勢いでそのまま図書室に突っ込んだら、 ちょうど床がワックスかけ直したばっかで 案の定足が滑ってね。 その拍子で、勢い余って 本棚に体当たりして本棚が倒れたんだ。 @200 それがドミノのように きれいに倒れたからこう呼ばれているんだ。 @401 (コントだー!!) @102 それから1週間は 図書室に缶詰で書庫整理だったよ。 @202 関係ない俺もなぜか手伝わされたっけな。 @402 とんだ災難でしたね……。 @202 よくまあ毎日こんな感じの生活で ひねくれなかったよな。 @102 当時は給食だけが唯一の支えさ。 @401 それが支えなんですか!? @100 中学校は給食が必ず出たからね。 @202 家じゃ食えないって言って いつもおかわりしてたな。 @102 その代わり、家での僕のご飯は ほとんどエアーだったよ。 @402 生きるのに必死だったんですね。 @102 毎日がサバイバル。 @202 いやすぎる……。 !mvnil !wait40 !bgm !wait20 @1 ……こうして。 僕たちは中学校に残る足跡 (主に僕の黒歴史)を色々と見て回った。 どれもこれも、 今となっては懐かしい思い出。 僕たちはそれを見ながら 昔の生活に思いをめぐらせていた。 ……。 ……でも。 セトの記憶は戻らなかった。 思い出の物を一緒になって 物珍しそうに見ることはあっても。 昔の記憶は思い出せないままであった……。 ……。 ……そうして色々と見ているうちに。 僕たちはほとんどの場所を見尽くしてしまい。 いつの間にか日も西に傾いてきていた……。 !wait60 !mv3F廊下 !bgmけだるい午後 !wait20 @202 これで見られる部屋は大体見ちまったな。 @402 私が生活していた教室も 全部見ちゃいましたし……。 @102 教頭先生にお願いして 実験室とかも見せてもらったしね。 @202 くっそー、 絶対何か思い出せると思ったのに……。 @402 ……。 @100 セト、あまり気を落とさないでね。 @402 あ、はい……。 @200 さて、どうしたもんかな……。 !wait20 !se(環境)キンコンカンコン !wait200 !se @100 休日の部活動終了のチャイムだ。 @202 げっ、もうそんな時間になってたのか。 @102 どうしよう、さすがに 部活やってた生徒が帰って 僕たちがまだいるのも先生に悪いよね。 @202 ……そろそろ切り上げるしかないか。 @402 そうですね……。 ……。 !wait40 !bgm @404 ……っ! @100 ん? !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se !se(Action)学内歩き !wait8 !se @202 !? @103 セト!? !bgs(環境)心拍 @1 沈黙を破り突然駆けだしたセト。 僕の呼びかけに振り返ることもなく、 その後ろ姿はどんどん遠ざかっていく。 そして気付いた時には、 セトはすでに視界から消えていて。 廊下を駆けるその足音だけが響いていた。 @103 くっ!! !mvnil !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se @1 僕は慌ててセトを追いかけた。 足の速さは確かに僕の方が速い。 ……だが。 セトの駆けて行った方向にセトの姿はなく。 廊下に響く足音もどんどん 小さくなっていった……。 @103 セト!!どこにいるんだ!! @1 僕はとっさに叫んだ。 しかし、答えは返ってこない。 足音も今の声にかき消され……。 辺りには静寂が広がっていった。 !wait40 !bgs \f[16]ガシャン @100 ! @1 何かが聞こえた……。 これは……\s金属音? @103 こっちか!! @1 僕は音のした方向へ再び駆け出した。 そして……。 !wait20 !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !se(Action)学内歩き !wait6 !se !wait20 @100 ここは……。 !se(Action)重いドア開け !mv薙島高校 !wait20 @100 ……。 @1 そこは、\s屋上だった。 @100 そういえば、 ここはまだ見ていなかったっけ……。 @1 狭い校内の束縛から 解放されたかのような広い空間。 人気の失せた学校において、 そこにはただ空虚な世界が広がっていた。 @100 ……あ。 @1 そしてその空間の中心に……。 !wait20 @400 ……。 @1 セトは、立っていた。 何をするわけでもなく、 一点を見据えてただ立ち尽くしていた。 @100 ……。 !se(Action)学内歩き @1 僕はゆっくりとセトに歩み寄った。 @100 ……セト? @400 ……。 !wait40 ……知ってる。 @100 え? !wait40 !bgm黄昏 @400 私……\sこの場所を知ってる……。 !wait20 @404 この場所を覚えているんです! @103 ! @1 先ほどの確信に満ちた足取り。 それが何よりの証拠だった。 セトは、 \sこの屋上のことを覚えていた。 @400 ……。 !wait20 ……でも。 @100 でも? @402 でも、覚えているのは この場所があったってことだけ……。 何があったとか、 そういうのは思い出せないんです……。 @100 ……。 !wait40 @1 ポロッ @100 ……っ! @1 次の瞬間、 \sセトの目からは涙がこぼれていた。 !wait20 「……どうして。」 「ここまではっきりと…… 覚えている場所なのに……。」 「なんで……思い出せないんだろ……。」 「やっと……。」 「やっと……何か思い出せそうなのに……。」 「……。」 「……うっ……。」 「ぐずっ……ひっく……。」 !wait20 @100 ……。 @1 ようやくつかみかけた自分の記憶の断片。 しかし、それ以上のことが思い出せない。 その涙には、この数日間の不安と焦りが 凝縮されていたのだろう。 !wait20 『私がんばりますね!』 ……。 僕たちの前では気丈に振る舞っていたセト。 でも……\sやっぱりつらかったんだよね。 @100 ……セト。 @1 僕はうずくまっているセトの肩に そっと手を置いた。 @402 ……あ。 @100 場所を覚えていただけでも十分じゃないか。 これがきっかけで 一気に思い出していくかもしれないし……。 @402 ……。 @100 だから、少しずつ思い出していこう。 心配しないで……。 僕や、\sリョウヘイ、 \sみんなついているんだから。 きっと……\s大丈夫だからさ。 @402 ……。 !wait20 @400 ……。 ……そうですよね。 みんな……\sいてくれるんですよね。 @100 うん。 @1 そう言うと、 セトは落ち着きを取り戻していた。 @102 (……あれ?) @1 ふと、ある疑問が浮かんだ。 @102 (そういえばこの場所って 何かあったっけ?) @400 ……。 !wait40 @404 あっ! @100 ! @1 突然セトが声を上げた。 @400 そうだ……。 @100 ? @400 私…… \sここでシシトさんと初めて会ったんだ。 @100 ……あ。 !mvnil @1 それは僕もよく覚えていなかった昔の記憶。 中学2年になったある日、 僕はふと屋上に行こうと足をのばした。 別に何をするつもりもなかったが、 僕はその空虚な空間に 居心地のよさを感じていたのかもしれない。 だから、こうしてたまに 意味もなく屋上にやって来ていた。 !wait20 ……しかし、その日は様子が違っていた。 開けっ放しにされた屋上のドア。 僕はドアの所から屋上を見てみた。 ……。 すると、そこには数人の生徒……。 そしてその視線の先には 1人の女の子がいた。 ……。 ……いじめだった。 !wait20 何をどうしたかはよく覚えてない……。 とにかく、僕はとっさに割って入って いじめをやめさせた。 その時助けた女の子。 それが……\sセトだった。 ……。 これが、僕とセトとの出会い。 ……これほど重要な場所だったのに。 どうして今まで思い出せなかったのか……。 !wait20 ……決まっている。 僕にとってここでの思い出は……。 「あの事件」によって ほとんど塗り固められていたのだから……。 !wait40 !mv薙島高校 !wait20 @100 ……。 ……そうだったね。 !wait20 @102 僕も今思い出したよ。 @402 でも、今はまだ それだけしか思い出せません。 @100 いや、それだけで十分さ。 @1 いじめがあったなんてことは まだ思い出させないほうがいい。 ……そう思った。 !wait20 !se(Action)重いドア開け @1 ガチャン @202 やれやれ、ここにいたか。 @400 あ……。 @100 リョウヘイ。 @202 まったく心配させやがって……。 思い詰めてとんでもない事でも しようとしたのかと思っちまったぜ。 @402 ご、ごめんなさい……。 @200 おっと、どうやらお邪魔だったか? @102 いや、そんなことないから。 @404 ちょ、ちょっと 色々思い出しただけです! @200 お、何か思い出せたのか? @100 セトがこの場所を覚えていたんだよ。 @400 私、ここでシシトさんと 初めて会ったみたいなんです。 @102 でも何があったとかは よく覚えてないみたいだけど……。 @200 なるほどな……。 !wait20 @202 でも、なんで会ったのがここだったんだ? @102 たまたまだよ。 @200 たまたまねぇ〜。 @102 まあいいじゃないか、 これだけ思い出せただけでも大収穫だよ。 @200 それもそうだな。 よし、じゃあもう帰るか。 そろそろ帰りの電車がなくなっちまうぜ。 @100 うん、そうしよう。 !bgm !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait40 @400 ……。 シシトさんと初めて会った場所か……。 どうしてこれだけ 思い出せたんだろう……。 それだけ私にとっては 大事な思い出だったのかな……。 ……。 !wait40 @403 ……。 もしかして、\s私……。 !wait20 @1 「セトー、もう行くよー。」 @402 あ、はいっ、すぐ行きます。 !se(Action)学内歩き @1 スタスタ !wait20 !mvnil !wait60 『だから、行こうぜ。』 『俺たちの初めて出会った、あの場所に。』 !wait20 ……そう。 確かにつらいこともあった……。 あまり思い出したくないこともあった……。 ……。 ……でも。 僕たち3人にとっては……。 この地は紛れもない原点だった。 ……。 ……そう思いながら。 僕たちはこの地を後にした……。 !wait80 @0 The girl found one memory, and the boy remembered one memory. This story continues.